IT駆使し国民を監視、ウイグル族への弾圧強化
米国のサム・ブラウンバック大使(信教の自由担当)はワシントン・タイムズとのインタビューで、中国が、顔認証技術などITを使って国民への監視を強化する一方で、イスラム教徒の少数民族ウイグル族などを教育と称して施設に強制収容していることを非難した。
米大使が中国非難
ブラウンバック氏は、中国が導入を進める顔認証システム、人工知能(AI)、国民を格付けする「社会信用システム」を「未来型の弾圧」手法であり、監視と迫害のための「大規模」なシステムだと非難するとともに、「完成すれば、他の独裁国家に売却するだろう」と警告した。
中国政府は昨年、北西部の新疆ウイグル自治区の収容施設の存在を一部認め、国際社会から非難を受けた。中国は施設を「職業訓練所」と主張しており、約100万人のウイグル族イスラム教徒が収容されている。
中国政府は2016年以降、同自治区に住むウイグル族の文化、宗教に対する抑圧を強化させている。自治区は、カザフスタン、モンゴルと国境を接し、天然資源が豊富な地域としても知られる。
自治区では長年、同化政策に反対し暴動などが散発的に起きてきたが、中国政府は、共産党政治局員で同自治区党委員会書記の陳全国氏の主導で、過激派取り締まりと称して弾圧を強化した。陳氏は、チベット自治区の仏教徒への弾圧でもよく知られる。
ブラウンバック氏は、ウイグルでの弾圧について、チベットでの「成功」を受けた「第2幕」だと指摘するとともに、「人の心の核心に迫ろうとすると、宗教に行き着く。人々を一つにするのは宗教だ」と宗教の重要性を強調した。中国共産党は、預言者ムハンマドの名の使用やラマダンの断食を禁止、モスク(礼拝所)を監視するなど露骨なイスラム教徒弾圧を実施している。
同氏は中でも、巨大な施設にウイグル族が強制収容されている点を「非常に悪辣(あくらつ)だ」と強く非難した。自治区内の達坂城区の施設には少なくとも1万1000人が収容され、世界でも最大規模の収容施設とされている。
(ワシントン・タイムズ特約)