対韓輸出厳格化、文氏はこれ以上信頼損なうな


 政府が韓国を対象に半導体材料の輸出管理を強化した。日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた韓国最高裁判決をめぐって解決策を示さない韓国政府への事実上の対抗措置だ。

 韓国の文在寅政権の反日的な姿勢で、日韓関係は悪化の一途をたどっている。これ以上、日本との信頼関係を損なうべきではない。

フッ化水素などが対象

 今回の措置で、スマートフォンなどの有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレーに使われるフッ化ポリイミド、レジスト(感光材)、フッ化水素の3品目について、輸出ごとに政府への申請が必要となり、審査に最大で90日かかるようになる。

 政府がこうした措置に踏み切ったのは、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)までに韓国が元徴用工問題の有効な打開策を示さなかったためだ。サミットの際には、安倍晋三首相と文大統領との日韓首脳会談も行われなかった。

 日本の輸出強化管理に対し、韓国政府は「世界貿易機関(WTO)提訴を含め、必要な措置を取る」と警告した。だが、このような事態を招いたのは韓国側に非があるからだと言わざるを得ない。

 元徴用工問題をめぐって、日韓両政府は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの見解で一致していた。ところが、韓国最高裁がこの見解を覆す判決を下し、文政権も一向に対処しようとしない。これでは、日本との協定を軽んじていると受け取られても仕方がない。

 韓国は先月、日韓の企業が元徴用工に慰謝料相当額を拠出するとの案を示した。しかし、日本側が受け入れられないのは当然である。

 関係悪化の原因は元徴用工問題だけではない。慰安婦問題をめぐる日韓政府間合意に基づいて元慰安婦らの支援事業を行っていた「和解・癒やし財団」が今月、正式に解散した。だが、この合意は「最終的かつ不可逆的」だったはずだ。文政権が合意を無視し、財団を解散させたことは、日本との信頼関係を決定的に損なうもので到底理解できない。

 さらに、韓国艦艇による自衛隊機への火器管制レーダー照射問題も関係を冷却化させた。日本と韓国は共に米国の同盟国であり、北朝鮮の核問題に対処する上で日米韓の連携は欠かせないはずだ。それにもかかわらず、こうした敵対的な行動を取ることは常軌を逸している。

 日本は外為法で米英など安全保障上の友好国を「ホワイト国」として輸出規制を緩和しているが、政府は今回、韓国を対象外とする方針を示した。規制が厳しくなれば、安保の脅威となる先端技術や電子部品などが対象となる。

 日本は先月、韓国から輸入するヒラメなどのモニタリング検査を強化した。今回の輸出管理強化は第2弾の対抗措置だと言えよう。このまま日韓関係が改善されなければ、対抗措置の応酬につながる恐れもある。

反日的な姿勢改めよ

 日韓関係悪化は両国に何の利益ももたらさない。文氏は反日的な姿勢を改めるべきだ。