観光のレガシー残す大会に

新閣僚に聞く

櫻田義孝 五輪担当相

 櫻田義孝五輪担当相はこのほど、世界日報社を含む報道各社のインタビューに応じ、北朝鮮の東京五輪参加問題、残したい五輪のレガシー(遺産)、大会成功に向けた重点課題などについて語った。

北朝鮮の五輪参加についてどう思うか。

櫻田義孝氏

 さくらだ・よしたか 昭和24年、千葉県生まれ。明治大卒。自民党衆院議員。内閣府副大臣、衆院厚生労働委員長、文部科学副大臣などを歴任。当選7回。

 一般論として、スポーツの祭典なので政治とスポーツを切り離して多くの国の参加が望ましいが、まずは国際オリンピック委員会(IOC)と北朝鮮のオリンピック委員会、大会組織委員会とで調整してもらう。政府としては動向を注視しながら対応してゆきたい。

拉致問題がある中での参加をどう考えるか。

 拉致問題が解決して、北朝鮮の人にどっと日本に来てもらうことが一番望ましいが、最低限、五輪までに、喜んで日本人が北朝鮮の選手を迎えられる環境が整ってほしい。北朝鮮の人たちが行進する時だけ拍手する日本人がいなかったり、ブーイングが起きたりすると、五輪のムードを壊してしまう。そういう意味で、拉致問題を解決してもらいたいというのが切なる願いだ。

未来に向けて一番残したい大会のレガシーは。

 やはり観光だ。一次的には素晴らしい大会を演出して参加して良かったと思えるようにできればいいが、継続的に日本に世界の人が来てくれる、一過性で終わらない大会にしたい。そのためには、地域を回って日本の良い所を見てもらうことも大事だ。「おもてなし」という言葉で招致したので、日本の国柄は素晴らしい、礼節を重んじる民族だ、世界のお客さんを招くにふさわしい国だという思い出を持ってもらえるようにしたい。

今後、特に力を入れていく分野は。

 大会の成功に向けて、第一に、世界で大会の機運を盛り上げていきたい。第二に、再び五輪とパラリンピックを東京で開催することで、共生社会というものを訴えたい。第三には、「復興五輪」という名の通り、東日本大震災から力強く復興しているメッセージを世界に発信したい。それから、輸送とか暑さ対策とかいろいろな問題があるが、安心・安全な大会運営を心掛けていきたい。

パラリンピックを成功させるためにどうするか。

 パラリンピックの成功なくして東京大会の成功はない。客席の入りが五輪に比べると困難が伴うので、企業やボランティア団体などいろんな面でお願いして空席が出ないようにし、五輪とパラリンピックが共に成功した姿を見せたい。

個人的にはどういう特色を出したいか。

 やはり復興五輪というので、観光を通して被災から立ち直った日本を見てもらうと同時に、日本の伝統や歴史や文化を(見てもらいたい)。特に東北には平泉の文化財やいろいろな景勝地がある。そういう所に行ってもらいたい。

サイバーセキュリティー対策について政府内でどう連携を取っていくか。

 今、検討中だ。来年1月、通常国会前に英国やイスラエルを視察し、万全の体制を整えてゆきたい。それから、継続審議になっているサイバーセキュリティー基本法改正法案が臨時国会で審議される予定なので、何とか通したい。