対北で置き去り懸念 首相、トランプ氏説得へ


 安倍晋三首相は17~20日訪米し、トランプ大統領と会談するが、米国、韓国、中国が北朝鮮と直接接触する中で、北朝鮮問題で日本だけが置き去りにされるのではないかという懸念が高まっている。

安倍首相

安倍晋三首相

 米当局者は、日米会談は、核・ミサイル開発を放棄させるための北朝鮮に対する「最大限の圧力」が主要なテーマになると主張する。しかし、東アジア専門家らは、安倍首相訪米の真の目的は、5月にも行われるとみられる米朝首脳会談での日本の懸案事項の優先順位を引き上げさせることにあるとみている。

 米シンクタンク「新米安全保障センター」アジア太平洋安全保障計画のパトリック・クローニン部長は、安倍首相の訪米は「米国が北朝鮮とのハイレベル交渉の中で日本を見捨てないことを確認する」ためだと指摘した。

 ブッシュ(子)政権で元国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ氏も1日、ニッケイ・アジア・レビューとのインタビューで、トランプ政権は、「韓国と日本の視点から」米朝会談に臨むべきだと主張、「米国の安全保障だけに貢献し、日本の安全保障が改善しない取引をするなら、それは恥ずべきことだ。同盟国への対応としては適切ではないと思う」と指摘した。

トランプ氏

トランプ大統領(AFP 時事)

 クローニン氏は、日本政府は南北首脳会談、米朝首脳会談が、米中南北による4カ国協議につながるのではないかと懸念していると強調。米国が交渉を急げば、米国に到達可能な北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を放棄させても、日本を攻撃可能なノドン・ミサイルなどへの対応はできなくなるのではないかと指摘する。

 安倍首相はこれまでトランプ氏の北朝鮮への強硬姿勢を支持、米朝会談にも肯定的な姿勢を示している。

 一方で、韓国の文在寅大統領が、北朝鮮との関係改善を強力に進めていることから、北朝鮮問題で韓国によるトランプ氏への影響力が増すのではないかとみられ、日本政府内では水面下で対応に追われていると指摘するアナリストらもいる。

 従来の外交の枠にとらわれないトランプ氏は、日本など同盟国の自国防衛への経済負担の増額を訴え、昨年11月の訪日では、「(日本の)米国からの軍装備の追加購入が完了すれば」北朝鮮からのミサイルを撃墜し、無力化できると述べ波紋を呼んだ。

(ワシントン・タイムズ特約)