超強硬派ボルトン氏起用を受けて


韓国紙セゲイルボ

米との緊密協議、最優先を

 トランプ米大統領は国家安保問題補佐官としてボルトン元国連大使を選んだ。それも歴史上初めての北朝鮮指導者との会談を予告した時点でだ。北に対する軍事的攻撃も排除しない超強硬派ボルトンの登場に“韓半島のチェス盤”がにわかにせわしくなっている。

ボルトン氏

トランプ次期大統領と会見後に手を振るボルトン元国連大使(いずれも当時) 2016年12月2日、ニューヨーク、トランプタワー(UPI)

 ブッシュ政権時、「北朝鮮政権の終息」を公然と主張してきただけに「ボルトン・カード」が北朝鮮に与えるメッセージは明らかである。交渉→書面合意→補償→合意破棄→核・ミサイル挑発と続けてきた黒歴史は繰り返さないということだ。

 米国による体制脅威から核を持つしかないという金3代政権の主張をボルトンは信じない。北核の目標は「韓半島再統一」だと、くぎを刺す。「完全で検証可能な核廃棄」を成し遂げたリビア式をオプションとして打ち出したボルトンは、多者会談を通じて核兵器開発“中断”の水準で止まったイラン核協定は破棄する考えだ。イラン核の解決策はイラン爆撃しかないというのが彼の持論だ。

 韓国の特使団との面会後、しばらく姿を隠していた金正恩労働党委員長が本格的に動き始めたのはワシントンのこうした強硬気流と無関係ではないように見える。突然、中断されていた中朝首脳の交流も再開された。

 李容浩北朝鮮外相が来月ロシアを訪問するが、金正恩とプーチン露大統領の会談日程が議論されるという観測が出ている。王毅中国外相も27、28日ロシアを訪問する。中露は対北制裁に協力したものの、南北・米朝会談推進過程から疎外された。両国がまた北と肩を組むのは米韓主導の交渉を揺さぶっておこうとする意図だ。

 特使団の訪朝以後、大統領府内外では楽観論があふれた。金正恩、金与正兄妹に好評一色だ。かつての「頭脳が明晰(めいせき)で判断力があり、良い対話相手という印象を受けた」という林東源国家情報院長(当時)の金正日評を連想させる。

 地殻変動に近い韓半島外交折衝戦で、韓国政府はあくまでも“正直な仲裁者”の役割に忠実でなければならない。協議に入った金正恩の意図、非核化条件を正確に看破して、これをトランプ政府と緊密に協議して局面を壊さないようにするのが最優先だ。過去のように南北関係改善をテコに現局面を突破することができると考えるならば誤算である。

 トランプとボルトンは敵味方をはっきりさせる人々だ。彼らが「韓国は北側なのか、米側なのか」を問うことがあってはならない。それこそ北朝鮮の策略だ。

(黄政美編集者、3月28日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。