国会は北朝鮮問題議論を

濱口 和久

 11月18日、岩手県盛岡市で「北朝鮮の核開発・ミサイル発射と国民保護」と題する講演を行ってきた。講演では北朝鮮の核開発の現状やミサイルの能力について解説し、日本の対応能力・対策について、私の見解を述べた。

 折しも、北朝鮮が75日間の沈黙を破って、日本時間11月29日午前3時17分ごろ、平壌近郊の中部・平城付近から大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15号」1発を発射。約53分間、約1000キロ飛行した後、青森県西方約250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。

 一方、日本の国会は、相変わらず、野党による「森友問題」の追及に終始するお粗末さが続いている。日本の野党は北朝鮮の核開発・ミサイル発射から国民を守る気があるのかと言いたい。

 誤解を恐れずに申し上げれば、森友学園への土地売却価格(価格交渉の経緯を含む)は、日本社会のタブー問題も絡んでいるため、財務省役人の答弁を難しくしているような気がする。朝日新聞などの一部マスコミの「森友問題」に対する報道にも問題がある。

 日本海側の海岸に、この1カ月間だけでも、多数の北朝鮮漁船が漂着しているが、ほとんど国会では議論されていない。今後、北朝鮮から大量の難民が押し寄せてきた場合の対応についても、野党は政府に問うわけでもなく、「森友問題」の追及にだけ精を出す姿は、単なる安倍政権イジメとしか思えない態度である。

 また、13歳だった横田めぐみさんが、新潟市内で北朝鮮工作員に拉致され連れ去れてから、11月15日で40年の歳月が過ぎた。めぐみさん以外にも、拉致された疑いのある特定失踪者を含めると800人(警察庁発表)を超えている。拉致事件についても、野党議員からは対話重視を主張し、圧力を批判する声はあっても、政府に対して、拉致被害者奪還の気概を問う姿勢は皆無だ。

 私は「森友問題」よりも北朝鮮の核・ミサイル、大量の難民、拉致事件を、野党は国会で質問し、議論すべきだと思うのだが、読者の見解は如何に。

(濱口和久)