首相、女性活用で旗振り 数値目標設定には苦言も
人間として男女の別はない。男女は法律の上でも同格だ。しかし最近は女性優遇論が流行している。男性顔色なしだ。
永田町でも女性がもてはやされている。こんどいつ衆議院が解散されるかは誰も分からない。分かっているのは女性候補者がにわかに増えるだろうということだ。候補者が増えれば当選者も増える。衆議院も女性優勢の世界になるかもしれない。
女性候補がはじめて出現した時もそうだった。新聞はじめマスコミは女性候補をいろんな角度から報道した。
しかしフタを開けてみると、当選した女性議員は予想を少々上回る程度にとどまった。以後何回も総選挙があったが、女性ブームは掛け声だけに終わった気味がある。
女性の実力は国民が承知している。女性にも政治に参加してほしい。ただ国民は公平だ。女性だからといってエコひいきしない。ブームも起こらず、急落現象もなかった。ほどほどの線を維持し推移している。日本の有権者は聡明だという証拠のひとつかもしれない。
安倍首相もそのひとりだが、どちらかといえば女性支持に傾いている。総理大臣の判断は選挙の成績で決まる。選挙にとって有利か不利か。女性が投票権を持っている以上、腐心しなければならないのは当然だ。
各党もそのために苦心惨憺を極めている。それにしても安倍首相の女性尊重の意向はちょっと異常だ。自民党歴代の総裁の誰よりも女性依存振りを明言してはばからない。
考え方は理解できる。女性票を無視して選挙は戦えない時代だからだ。改造後に安倍内閣の支持率は50%を超えた。女性5人を入閣させたことなどが好感された。
もっとも、何事も行き過ぎは禁物だ。いささかないがしろ視されがちの男性側がハラを立てているのも尤もだ。
バランス感覚が大切だ。その点では女性票にこだわりすぎるのは安倍首相の勇み足のひとつといえよう。
首相は、女性の社会進出を促進する新法を秋の臨時国会で成立させる方針だ。
女性が経営する企業への補助金制度の創設に加え、女性管理職登用の数値目標も掲げる。2020年までに女性が指導的地位に占める割合を30%とする内容だ。
これに対し経団連の榊原定征会長は「国としての目標はいいが、一律的に数字を決めるのは現実的ではない」と苦言を呈する。女性をいかに扱うか。それが政治上の最大課題だ。(I)