肥大化する内閣府 改革の動きに族議員反発


 分かっているようで分からないのが内閣府だ。各省庁にはそれぞれの大臣が存在し、その大臣が首相につながっている。首相―各担当相の二重構造になっている。

 内閣府はその特別仕立てのひとつだ。専任大臣不在のため首相直属の形を取っている。いうならば、専任大臣ポスト不在の内閣府は徳川時代の幕府構造に例えると、個々の大名より一段高い将軍から直接指揮命令を受ける行政機関だ。他の役所から特別の目で見られ本人たちもその気になっている。

 内閣府は2001年の中央省庁再編で、経済企画庁や総理府を統合し発足した。首相の権限強化をサポートすることが目的だったが、首相交代のたびに業務が増え、肥大化してきた。

 その弊害が目に余るようになってきた。他の省庁から内閣府スリム化の要求が出始めているのがその証拠だ。内閣府の権限や独走について他の省庁からのクレームが強くなりつつあるのだ。

 いま槍玉に挙げられているのが族議員の暗躍だ。族議員が動くと予算が動く。だから困るのだ。歴史の浅い内閣府の族議員が早くも暗躍している。目の寄るところに玉が寄る。一種の連動作用だ。その族議員の横暴が指摘されているのだから、永田町の対応は早い。

 しかし、内閣府の業務や組織を各省庁に移管しようとする自民党行政改革推進本部の見直し作業に対し、党内から反対意見が噴出し、議論が難航している。対象の政策に関係する族議員を中心に「移管されれば予算確保が難しくなる」との反発が極めて強いためだ。

 新しい官庁が生まれると族議員が群がる。新しい資金開拓戦争の始まりだ。ヨチヨチ歩きの内閣府は絶好の獲物だ。この種のカネの分捕り合戦は当分収まりがつかないだろう。

 ちょっと目を離すとすぐ膨らむのが官庁組織だ。それをキチンと押さえるのが大臣の仕事だが、どうも弱虫大臣が多いので難儀だ。大抵は下の言う通りになる。官僚の人員整理ほど難しいものはない。一旦大きくなった組織を小さくするのは大仕事だ。

 しかし今回の内閣府スリム化要求はその官僚からも出ている。絶好のチャンスであるかも知れない。その要望に乗ってうまく畳み込んでいけばある程度の成功が望まれるかも知れない。

 為政者は行革や人員整理のためには心を鬼にする必要がある。その勇気をいま求められているのが政治家だ。(I)