臨時国会スタート 地方創生で国土強靭化を
日本は昔から災害列島といわれた。何しろ日本の背中にあたる部分に火山脈が走っている。あの美しい富士山もそのひとつだ。美人は怒ると怖い。
日本のあちこちで火山が火を噴くと、日本人はその度に逃げ惑う。逃げるだけではなく、事前に手を打ったらどうか。そんな議論が自然災害が起きると日本のどこかで必ず展開される。
しかし自然が相手では人智のほどなど知れたものだ。こんどの御嶽山の噴火もその例に洩れそうもない。すばやい初動による対処が何よりも肝要だ。
安倍首相は米ニューヨークの国連総会から帰国する政府専用機内で御嶽山噴火の報告を受け、関係省庁に対し状況の把握と被災者の救助などを指示した。
帰国後は官邸危機管理センターに直行し自衛隊派遣を決定するなど、次々と指令や指示を出して対策の先頭に立った。やっぱり若い首相は動きが早い。
安倍首相はまず身体が動く。走りながら対策を考える。これが若い首相の醍醐味だ。しかし若いということは経験が浅いことと表裏であり、深謀遠慮にかけるうらみがある。これは周囲の年寄りたちがチエを出し、首相を支えなくてはならない。
若手の行動力と年寄りの年の功が相協力してはじめて自民党の魅力が発揮される。大世帯の自民党にはその資格がある。しかしつまらぬ党内事情のため、この絶好のチャンスを空振り三振で終わらしめるようなことがあれば、世間の期待は失望と化す。
臨時国会が29日にスタートする。野党側は安全保障政策や消費税再増税などをめぐって安倍政権の姿勢を問う構えだが、安倍首相は「地方創生国会」と位置付け、地域経済活性化や人口減少対策に重点を置く。
日本には自然災害が多い。この災害を逆手にとって、災い転じて福となすことが重要だ。政府は国土強靭化基本計画を策定したが、強い国土を実現するためには、地方が元気でなければならない。地域経済活性化は災害対策と密接な関係にある。
それに、地域経済活性化に野党は反対しにくい。与党ペースの国会運営になり、野党側が苦戦するのは確実だ。来年春の統一地方選に向けて「地方重視」をアピールできる上、野党の存在感はさらに小さくなる。
相変わらず野党の足並みは揃っておらず、自民は余裕の構えだ。もっとも、4月の消費税増税や予想を超える円安で、アベノミクスのほころびも見え隠れする。政界の一寸先は闇だ。ご用心。(I)