奥さんに姥桜?


 文化庁の「国語に関する世論調査」が公表された。電子レンジで加熱することを「チンする」という人が9割以上に達するのは、「日本語の多様性や造語力を示す用法」と、同庁は分析する。

 とは言え、社会に浸透してほしくない言葉もある。「ディスる」はその代表例。英語のdisrespect(ディスリスペクト=軽蔑、無礼)が語原で、否定やけなす意味。主に若者が使っているというから、その世代が高齢者となった時、「チンする」のように一般化するのだろうか。

 驚いたのは、慣用句の「世間ずれ」を「世の中の考えから外れている」と意味を誤って覚えている人が55・2%もいたことだ。前回調査(04年)より20ポイント以上も増えている。

 もっとも、誤ったいい方・使い方が多くなって、結局定着してしまう日本語も少なくない。よく例として出るのは「独壇場」。本来の「独擅場(どくせんじょう)」が誤読され「どくだんじょう」が一般化したケースだ。

 近年、筆者が気になっているのは「うちの奥さん」と言う人が増えていること。周囲でもテレビでもよく耳にする。「広辞苑」によれば、奥さんは「奥様」より軽い尊敬語で、奥様は「他人の妻の尊敬語」。つまり、「うちの奥さん」という言い方は間違いなのだが、それを指摘する人は見掛けなくなった。

 そんな自分も、ある時まで誤解していた言葉がある。「姥桜(うばざくら)」だ。姥という文字のイメージから女性に対する失礼な言葉と思っていたが、本当の意味は「娘盛りが過ぎてもなお美しさが残っている年増」(「広辞苑」)で、褒め言葉なのだ。

 だが、その正しい意味を知っても、これまで妻に向かって「あなたは姥桜だね!」なんて口にしたことは一度もない。妻の誤解が恐ろしいからではない。筆者が正直すぎておべっかを使えないからです。(海)