書店がない防衛大

 先日、3月に防衛大学校(以下・防衛大)を卒業する学生と会う機会があった。その時、開口一番に学生から言われたのが、「なんで防衛大には書店がないんですか?」という質問だった。

 私の学生時代には、学生会館の1階に外部の書店が入居し、昼休みになると学生で賑(にぎ)わっていたことを記憶している。

 防衛大から書店が無くなったのは、五百旗頭真氏が学校長の時からだ。現在はコンビニの雑誌コーナーに数冊の単行本や新書が並んでいる程度である。書店が無くなったのは、五百旗頭氏の学校長時代の負の遺産でもある。五百旗頭氏の学校長時代の行状や批判については、本紙の「金曜オピニオン」にも書かせてもらっているので、記憶にある読者の方もいらっしゃるだろう。

 学生は再三にわたり学校側に書店の復活を要望している。しかし、学校側は「図書館を利用するように」というだけで、学生の要望を受け入れるつもりはない。

 防衛大は4年間を全寮制で生活する。外出できるのは、土日だけである。一般大と違い、授業の空き時間などはなく、朝8時半から16時近くまで毎日びっしり授業が行われる。

 授業が終わると、全員が運動部に所属しているので、夕食の時間まで練習をして汗を流す。その後は消灯まで自室での自習時間となる。外出できる土日も運動部の練習や試合等があり、自由な時間はほとんどないのが実情だ。

 学校側は「図書館を利用するように」と指導しているようだが、学生は図書館を利用したくても時間がないのである。おまけに、平日の夜や土日は、基本的には図書館は閉館している。最新の書籍があるわけでもない。

 最近は「アマゾンなどのインターネットで書籍を購入できる」という意見もあるかもしれないが、どんなに小規模な大学にも書店はある。防衛大も教育機関である以上は、書店が当然必要だと私は思う。

 学校側は学生の要望に耳を傾けるべきではないのか。逆に書店がないことを学校側は恥じるべきだ。

(濱口和久)