千葉大など国際チーム、史上最遠の恒星を観測


ハッブル宇宙望遠鏡で、129億光年離れ質量は太陽の50倍

千葉大など国際チーム、史上最遠の恒星を観測

ハッブル宇宙望遠鏡で観測された約129億光年先の恒星(拡大図内の白い矢印で示された小さな赤い天体)(NASA、ESA、B.Welch氏ら提供)

 千葉大などが参加する国際研究チームは31日、ハッブル宇宙望遠鏡で、約129億光年離れた恒星の観測に成功したと発表した。単独の恒星としては、これまでの約90億光年を上回り最も遠い。論文は英科学誌ネイチャーに掲載される。

 恒星の集まりである銀河や銀河団はより遠方の観測例があるが、単独の恒星の光は微弱で通常は届かない。今回は手前にある銀河団の強い重力が空間をゆがめてレンズの役割を果たす「重力レンズ」効果により数千倍に増光されたため、観測できたという。

 千葉大先進科学センターの大栗真宗教授らが参加する国際研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した約55億光年先にある銀河団の背後に点状に写っていた天体に着目。銀河団の質量などから重力レンズ効果の影響を詳しく調べたところ、太陽の約50倍の質量を持つ単独の恒星と分かった。

 今後、ハッブルの後継で昨年12月に打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡により詳細な観測が行われる予定で、この恒星を構成する元素などについても調べるという。