沖縄米軍基地の真実

 沖縄でまた米軍関係者による事件(うるま市のOL・島袋里奈さんが殺害・遺棄された事件)が起きた。絶対に許すことのできない犯罪だ。5月25日に開催された日米首脳会談でも、この事件は取り上げられ、安倍晋三首相は「断固抗議」し、日本国民の感情をしっかりと受け止めるよう要求した。オバマ大統領は「心の底からのお悔みの気持ちと深い遺憾の意」を表明。両首脳は事件の再発防止に取り組んでいくことで合意した。

 今回の事件を受けて、5月27日付の社説の中で、朝日新聞は「米軍関係者による犯罪は、重大な基地被害であり、人権侵害である。日本復帰から44年がたっても、その重荷は沖縄県民に押し付けられている」。毎日新聞は「沖縄の過重な基地負担の問題に根本的に取り組むしかない」。東京新聞は「沖縄県には在日米軍専用施設の約74%が集中する。日本国民たる沖縄県民の命と平穏な暮らしを守るには米軍施設の大幅削減が急務だ」とした。

 3紙は沖縄に米軍基地が集中しているから、事件が起きると言わんばかりだ。沖縄県内のメディアの中には「日米両政府の沖縄差別」といった表現を使って、県民の被害者感情を高めて「米軍基地撤去」につなげようとする動きもある。

 沖縄には米軍施設がどの程度集中しているのか。日本全国に米軍基地・施設は存在する。その中には、例えば自衛隊と米軍とが共用で使用するキャンプ千歳や三沢などを除く北海道・東北の駐屯地や演習場がある。これらは米軍専用施設でないという理由で、米軍基地の使用面積の計算式に含まれていない。

 米軍と自衛隊とが共用で使用している基地・施設を含めて計算すると、米軍基地は沖縄に約23%、残りの約77%は沖縄以外の地域に存在している。

 もちろん約23%も小さな割合とはいえない。ただ米軍専用でも自衛隊との共用でも、米軍基地であることにはかわりはないはずだ。

 マスコミは沖縄の米軍基地の真実(約23%の基地)を正しく伝える責任があると思うのだが、如何だろうか。

(濱口和久)