台湾の小学生、海洋ゴミ問題を人形劇で訴える


漂着カメラ 日本に返った実話基に

 昨年3月、海岸清掃で防水ケースに入ったカメラを拾い、SNSを通じて落とし主の日本人女子大生へ返した台湾北東部・宜蘭県の岳明小学校6年生の児童たちが7日、東京・虎ノ門の台湾文化センターで伝統的人形劇の布袋戯(ポテヒ)を披露した。劇は漂着したカメラの実話を基にしており、ごみによる海洋汚染問題を啓発している。

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カメラ漂着の実話を基にした人形劇を披露する台湾の小学生たち=7日午後、東京・虎ノ門の台湾文化センター(石井孝秀撮影)

 物語はさまざまな生き物たちが海の中で平和に暮らしているところから始まる。そこに人間が捨てたごみによって生まれた「ゴミ大王」などの怪物たちが登場し、生き物たちは次々と死んでしまう。海を漂っていたカメラがその場面を目の当たりにするという設定。

 最後に児童たちが「なぜ、生き物たちが死んでしまったのか考えてみてください」と客席に呼び掛けた。怪物たちの人形や衣装は、実際に児童たちが海岸清掃で拾ったごみで制作した。9日には千葉県成田市の小学校でも上演する予定。

 教員の李公元さんは「劇の言葉は中国語だが、環境問題の大切さは日本の子供たちにも伝えられると思う」と語った。客席にはカメラを拾ってもらった上智大学4年生の椿原世梨奈さん(22)の姿も。

 椿原さんは旅行先の石垣島でスキューバダイビング中、両親からもらったカメラを紛失した。諦めていたところ、児童らがカメラの持ち主をSNS上で探していることを知り、昨年台湾を訪問した。今も児童たちと連絡を取り合っているという椿原さんは「私のストーリーで環境問題の劇をしてくれるのはありがたい。これからも子供たちの活躍を見守っていきたい」と笑顔で話した。