トランプ氏別荘を標的 中国がスパイ活動か
侵入の中国人女を訴追
米南部フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘で、会員制リゾート施設のマールアラーゴに侵入し逮捕された中国人の女が、不法侵入と捜査官にうその証言をした容疑で訴追された。中国情報機関のスパイとみられ、中国がトランプ氏周辺に接近し、情報活動を進めているとして米情報機関は警戒を強めている。
この女は中国国籍の張玉静(33)。3月30日の逮捕時、2冊のパスポート、4台の携帯電話、ノートパソコン、外付けハードディスク、USBメモリーを所持、滞在していたホテルの部屋からは、隠しカメラを検知する機器、現金8000㌦、クレジットカード、コンピューター機器が見つかっている。
捜査員らは、電子機器からの情報入手に取り組んでいるが、張容疑者が中国情報機関とつながりがあると断定、何らかのスパイ活動に関わっていたとみている。
起訴状によると張容疑者は当初、プールで泳ぎに来たと主張、警備員は職員の家族と思い込み、施設内に入ることを認めていたという。その後、大統領警護隊(シークレットサービス)に質問され、国連の親睦会に出席すると主張、不信感を抱いたシークレットサービスに暴言を吐き逮捕された。
警察当局によると、張容疑者は、国家保安省、公安省、人民解放軍(PLA)参謀本部第2局(2PLA)など、中国の情報機関とのつながりがあることを示す証拠があるという。
2月にもフロリダで、中国人による稚拙なスパイ活動が明らかになっている。
中国国籍の学生が、フロリダ州のキーウェスト海軍基地付近で、不法に写真を撮ったり、動画を撮影したりしていたとして禁錮1年の判決を受けた。この学生は、中国安保省に所属していることが明らかになっている。
トランプ氏が頻繁に利用する別荘を標的とした張容疑者に関しては、トランプ氏の周辺の人物に対するスパイ活動、今後、スパイを本格的に派遣し、情報収集するために警備状況をチェックしたとの見方が出ている。
事件を受けて、シークレットサービスと、中国の情報活動を監視している連邦捜査局(FBI)は警戒を強めている。
トランプ氏が2016年に大統領に選出されて以降、多くの中国国籍保有者が、マールアラーゴで働き始めているという。
米国在住の中国人実業家で、マールアラーゴの会員でもある郭文貴氏は、中国は工作員を使って、侵入を試みるだろうと指摘、施設の警備の強化を求めるとともに、昨年、約1000人の中国国籍保有者が施設で働くことを希望していたことを明らかにした。