米中安保対話で米、南シナ海のミサイル撤去要求
トランプ米政権はワシントンで今月上旬に行われた米中外交・安全保障対話で、南シナ海に中国が配備したすべての対艦・対空ミサイルを撤去するよう求めていた。このような要求が明らかになるのは初めて。
国務省が公表した米中対話の概略報告書で明らかになったもので、中国にスプラトリー(南沙)諸島からミサイルを撤去するよう求めるとともに、「圧力や脅迫で紛争を解決することは避けるべきだ」と、中国の南シナ海軍事化を牽制(けんせい)した。
対話は、米側はポンペオ国務長官とマティス国防長官、中国側は、楊潔篪共産党政治局員、魏鳳和国務委員兼国防相が参加して行われた。
国防総省は6月、中国が新型対艦・対空ミサイル、電子妨害装置をスプラトリー諸島に配備したことを発表。南シナ海で「航行の自由」作戦を行う米軍の艦艇、航空機の脅威になっていると主張していた。米軍は南シナ海の軍事化を進める中国を牽制するため、海域に艦艇、航空機を派遣するなど、「航行の自由」作戦を強化している。
配備されたミサイルは、射程約550㌔の対艦ミサイルYJ12B、射程約300㌔の地対空ミサイルHQ9B。ミスチーフ(美済)礁、ファイアリクロス(永暑)礁、スービ(渚碧)礁に海域を取り囲むように配備され、緩衝地帯を形成しているという。電子妨害装置は、ミスチーフ礁、ファイアリクロス礁に配備されている。
米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は、これらのミサイルは海域での米軍の作戦にとって「大きな脅威」となっていると指摘している。
さらに中国は西沙(パラセル)諸島のウッディー(永興)島に核搭載可能な戦略爆撃機H6を初めて配備した。
米中間の軍事的緊張はこのところ高まっており、9月30日には、スプラトリー諸島で中国の駆逐艦が米駆逐艦ディケーターに約40㍍の距離まで異常接近、衝突を避けるための進路変更を迫られていた。
また、米国務省は9月、ロシア製の兵器、航空機の購入を理由に、中央軍事委員会装備発展部と李尚福部長を制裁対象に指定している。











