極超音速ミサイル、米が開発促進
MDAと陸海空軍が協力
先行の中露に対抗
米国防総省ミサイル防衛局(MDA)が、陸海空軍と協力して、極超音速ミサイルの開発を進めていることが明らかになった。このミサイルは、高速で敵のミサイル防衛を回避することを目指すものだが、中国とロシアがすでに同様のミサイルの開発を進めており、ミサイル防衛を主導してきたMDAの参加で、開発を促進したい狙いだ。
MDAのグリーブズ局長(空軍中将)は記者(ビル・ガーツ)に、「他国の極超音速兵器開発に対抗するために、開発に参加し、取り組みを促進している」とMDAの開発への参加を認めた。
陸海空軍はそれぞれ、高速ミサイルの開発を行っており、陸軍は地上配備型、海軍は艦艇と潜水艦から、空軍は爆撃機から発射するミサイルの開発を進めている。
国防当局者は、軍全体で取り組むことで、ミサイルとミサイル防衛を専門とする兵器技術者による研究結果を集積することが可能になると指摘した。
MDAはこれまでも、極超音速ミサイルからの防衛を主導しており、迎撃ミサイルと標的ミサイルの開発にも今後、関わることになる。極超音速ミサイルは現在、中国とロシアが、主要な非対称戦兵器として精力的に開発を進めており、通常・核弾頭の使用が想定されている。
議会は2016年に、極超音速ミサイル防衛に関する計画を立案。現在この計画には、極超音速誘導ミサイルの検知、追跡が可能なセンサーネットワークの宇宙配備が盛り込まれている。
滑空体は、サンディア国立研究所が数年前に作製した試作機を基に開発が進められている。空軍と陸軍が開発中のミサイルは、2022年までに配備予定だ。
海軍は17年10月、独自開発ミサイルの試験発射を行った。これは、「中距離通常型即時攻撃飛行実験1」とだけ説明され、詳細は明らかにされていない。
極超音速ミサイルは、別のミサイルから発射され時速1万1000㌔以上の速度で飛行する誘導可能な滑空体または、「超音速燃焼ラムジェット(スクラムジェット)」エンジンを使った高速の飛行体とされている。