中国、先進技術の獲得狙い 米大手航空機メーカーの株式取得
中国の軍事行動やスパイ活動への関与が指摘される国営航空機・ミサイルメーカー「中国航空工業集団(AVIC)」が、先進技術の獲得のために、ボーイングなど米国の大手航空機メーカーの株式の取得を進めていることを米政府当局者が明らかにした。
米情報機関が数カ月前にこの動きを察知し、情報は政府内で共有されているという。
AVICはすでに、航空支援企業など商業航空に関わる企業を買収することで、米航空産業のサプライチェーンに深く入り込んでおり、情報機関は、航空大手の株式買収の動きを警戒している。
AVICの活動に詳しい米政府当局者は、「常習犯であり、欧米の技術を吸い取る活動をしている国営企業の一つだ」と指摘した。
標的となっているのは、ボーイング、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・ダイナミクス、ロッキード・マーチンなど米航空宇宙・軍事企業の最大手。
AVICは、111社、36の研究所、六つの大学から成る航空複合企業で、職員は56万人とされている。
ボーイングの技術者、ドンファン・チュンが2009年、戦略爆撃機B1、スペースシャトル、ロケットランチャーに関する情報を中国に引き渡したとして起訴され、16年の懲役刑が言い渡されている。
国防総省は、「(AVICは)米軍用機のサプライチェーンの重要部分を獲得」しており、中国による技術獲得は米国家安全保障にとって脅威との報告書を出している。
国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー上級研究員は「中国が米国の防衛・航空宇宙企業の半数近い株式を取得すれば、これら企業の幹部に中国当局者を就かせることもあり得る。スパイ活動の可能性があり、危険だ」と指摘、中国国営企業による米防衛・航空宇宙企業の株式取得を禁止すべきだと訴えた。