中国が空中発射弾道ミサイル開発

国防情報局長官が証言

ビル・ガーツ

 中国は、車載式、サイロ固定式ミサイルに加えて、爆撃機に搭載する核弾道ミサイルの開発を進めている。国防情報局(DIA)のアシュリー長官が6日、上院軍事委員会で中国の空中発射ミサイルに関して異例の証言を行った。

 アシュリー氏は「(人民解放軍は)新型の射程の長い対地・対艦巡航ミサイルを開発、配備している。その一部は、超音速で飛行し、地上、空中、艦艇、潜水艦から発射可能」とした上で、「これらに、新たに2種類の空中発射弾道ミサイルが加わる。そのうちの一つは核ミサイルである可能性がある」と中国がミサイル攻撃能力を強化していることを強調した。

 中国の空中発射弾道ミサイル保有は初めて。航空機から弾道ミサイルが発射できるようになれば、地上や海上からの発射ではできない長射程の通常・核攻撃が可能になる。

アシュリー氏

アシュリー米国防情報局長官=米上院(UPI)

 中国軍専門家リック・フィッシャー氏は、アシュリー氏が言及したのは、弾道ミサイル発射用に改修が施された爆撃機H6Nではないかと指摘した。中国情報筋によると、H6Nは、射程1000㌔のDF16、射程1500㌔のDF21Dの空中発射型、射程4000㌔のDF26の短射程型が発射可能だという。

 H6Nは、米国の空母打撃群を攻撃する対艦弾道ミサイルの母機として使用される。空中給油を受ければ、ハワイ攻撃も可能だ。

 フィッシャー氏は「人民解放軍は、潜水艦からだけでなく、空中からも対艦弾道ミサイルを発射できるようにすることで、米海軍空母による防衛力を圧倒することを考えているようだ」と指摘、H6Nは、直接上昇方式の衛星攻撃ミサイルを発射し、低軌道上の人工衛星を攻撃するためにも使用可能だ。

 同氏は、中国による弾道ミサイル搭載可能な爆撃機保有で米国は「F22の後継となる航続距離の長い次世代戦闘機の開発を迫られる。長射程の空対空ミサイルを開発し、台湾を含むアジアの同盟国とのレーダーと情報の共有を促進するための計画を直ちに開始することが必要だ」と米国による対応の必要性を訴えるともに、韓国と日本への北朝鮮の攻撃、台湾への中国の攻撃を阻止するため、米国は新型の戦術核を開発し、アジアへの配備を急ぐべきだと訴えた。