中国、ハーバード大に巨額寄付
3億6000万㌦、米世論誘導が狙いか
米軍の元情報分析官アンダース・コール氏によると、中国はハーバード大学に3億6000万㌦の寄付を表明しており、これは米国の重要な教育機関に影響を及ぼそうとする取り組みの一環だと指摘した。
コール氏は、ペンス副大統領への書簡で、中国軍の関連企業JTキャピタルが2014年にハーバード大学に1000万㌦を寄付し、同じ年に、中国とつながりのある香港の大手不動産業者レニー・チャン一家が3億5000万㌦を提供すると発表したことを明らかにした。両者については「いくらか不透明」な部分があり、寄付の目的について憶測が広がっているという。
08年にハーバード大で国際関係の博士課程を修了したコール氏は、中国からの寄付は大学の教授陣に偏見を植え込み、米国の政策や世論を中国に有利なように誘導するためのものだと主張。「このような寄付を受け入れることは、米国の安全保障にとって利益にならないとみられ、ハーバード大の研究と教育に必要とは思われない。中国関連の資金が米政界、シンクタンク、大学に流入するのを禁止する法律を定めるべきだ」と訴えた。
コール氏によると、教授らは中国で講演料を受け取り、出版物に資金が提供され、中国側が全費用を負担した中国旅行も行われている。しかし、「これらはどれも教授らに影響を及ぼす可能性があり、公平性を欠くとの印象を与えかねないため、このような資金提供は通常、公表されない」という。
コール氏によると、米政府は16年、ハーバード大に6億㌦を提供、複数年にわたって研究・教育費として数十億㌦を提供している。
その上で同氏は、デュー・ファウスト学長に最近会ったペンス氏に対し、中国関連の寄付が米外国代理人登録法に抵触しないか、見返りとしてハーバード大が中国に米国の重要な技術を提供している可能性はないかについて調査するよう求めた。3億5000万㌦の寄付についても、財務省の対米外国投資委員会(CFIUS)が調査すべきだとしている。
コール氏は、政府はハーバード大に大規模な支援を行っているのだから、米納税者に対してもっと情報を公開すべきだと主張。「ハーバード大は米中政策アナリストらが持つ偏見というはるかに大きな問題の一部にすぎない。既存の法律を執行し、新法を設けるなどして、中国関連の寄付金をめぐる透明性を確保し、謎を解明すべきだ」と訴えている。