中国の米軍技術導入にバイデン氏の息子 関与か

ドキュメンタリー映画が指摘

ビル・ガーツ

 

 公開されたばかりの米ドキュメンタリー映画「ライジング・ザ・ドラゴン」によると、民主党大統領候補ジョセフ・バイデン氏の息子ハンター・バイデン氏は、中国政府の支援を受け、軍関連の取引にも関与している上海の渤海華美(BHR)の取締役を務めていた。映画を製作したジャーナリストのピーター・シュワイザー氏は、中国による米軍事技術導入に何らかのかたちで関与していたのではないかと指摘している。

 映画によると、BHRは、当時副大統領だったバイデン氏が2013年に中国を訪問した直後に、中国政府から1億㌦の支援を受けて設立された。以後、国有企業、中国航空工業集団(AVIC)など中国軍と関係のある企業と協力してきた。

 フロリダ州の保守系シンクタンク、政府説明責任研究所(GAI)の所長で、この映画のナレーターも務めているシュワイザー氏によると、映画は、企業の記録、経理関係書類、裁判関連文書などを基に製作された。シュワイザー氏は、15年にクリントン大統領夫妻への海外資金の流入を追跡した著書でもよく知られている。

 シュワイザー氏はインタビューで、映画はほとんど明らかにされてこなかった中国とバイデン親子のカネをめぐる関係を取り上げていると説明、「その関係は、バイデン氏が副大統領として、米国の対中政策の連絡窓口となってから深まった。…世界第2位の権力を握った人物と、その家族が米国の最大の競合国、中国とどのように取引をしてきたかをめぐる映画だ」と指摘した。

 ハンター氏の弁護士によると、同氏は無報酬でBHRの取締役に就き、17年にBHRの株式10%を42万㌦で取得したが、19年10月時点で、報酬も利益も一切受け取っていないという。

 シュワイザー氏によると、BHRは、中国軍の戦略的利益に奉仕するかたちで投資を行い、15年にはAVICと共に米自動車部品大手ヘニゲス・オートモーティブを買収した。ヘニゲスは、軍事転用可能な部品を製造しており、オバマ政権が買収を承認した。

 AVICは昨年、イランにミサイル関連製品を売却したとして米商務省の制裁対象となった。シュワイザー氏は「AVICが、中国の戦闘機や無人機を製造するために米軍事技術を盗み出してきたことはよく知られている」と指摘した。

 BHRはまた、軍の偵察技術、中国政府が国民の監視に使用している顔認証ソフトウエア「フェイス++」にも投資、さらに、ハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の世界の市場の囲い込みにも関与している。

 国有企業、中国広核集団(CGN)にも投資しているが、同社は、米司法当局に、商用原発の企業秘密の窃取に関与したと指摘されている。

 AVIC、CGNともに6月、米国防総省に軍事関連企業に指定された。

 シュワイザー氏は、「副大統領の息子と協力することで、これらの技術を買おうとしたと考えるのはおかしいだろうか。ハンター氏が関与したこれらの企業は、中国軍に直接関わっている」と中国の軍事技術導入にハンター氏が何らかの形で関与していた可能性を示唆した。