新田 容子
ロシアの影響工作に備えよ
先月末、ロシア連邦保安局(FSB)がアゾフ海でウクライナ艦船を拿捕(だほ)するという事態が発生した。この情勢はロシアが2014年3月、国際法に違反してクリミアを併合した結果だとする声が多いものの、いまだその背景など詳細…
軍事演習が示す中露関係
9月初旬にモスクワからシベリア地方で行われたロシアの軍事演習「ボストーク2018」は、特筆すべき点が二つある。一つ目は30万人もの兵士が参加した冷戦以来の大規模なものであったこと。二つ目に初めて3200人もの中国人民解…
露のサイバー連携の狙い
現在、世界は情報通信技術(ICT)の深化により社会的・経済的に新たなチャンスが生まれ、巨大市場が生まれつつある。同時にICTが国家間の権力闘争、安全保障の新たな火種にもなっている。 中国の習近平国家主席は、人工知能(…
強まる北朝鮮サイバー戦力
現在、全ての目が12日に開催予定の米朝首脳会談に注がれている。米国側は、検証可能で不可逆的な核放棄を北朝鮮側に強く求めているが、ポイントは核廃棄の検証とその達成方法だ。北朝鮮が核実験施設を閉鎖すると表明したことは歓迎す…
露の反射的制御戦略に対策を
現在、トランプ米大統領を最も危惧させているのは、元連邦捜査局(FBI)長官のロバート・モラー特別検察官による捜査であろう。中露の構想である朝鮮半島の非核化、米中貿易摩擦の激化、プーチン政権が支援するシリアの化学兵器疑惑…
過熱する情報戦争 露の意図的なサイバー攻撃
脅威に対応する米欧 現在、ロシアを含め、政治的、法的、メディア、インテリジェンス、心理的かつサイバー戦争といった手段を利用することにより、自国の戦略目標を達成すべく、重要な情報戦争能力を高める国が目立つ。 本稿ではロ…
北朝鮮のサイバー戦 違法な通貨獲得の手段に
狙われたビットコイン 北朝鮮の弾道ミサイルに対抗するため、小野寺防衛大臣は、日米が共同で開発する新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」搭載の「イージスアショア」(陸上型イージス)の導入を決断、この19日にも閣議決定され…
中国のサイバー脅威 経済スパイで技術革新達成
進化している攻撃力 2015年に中国当局が示した今後10年における製造業の発展のロードマップ「メイド・イン・チャイナ2025」の主目的は、中国の知的財産権保護にある。当計画は電気自動車、ロボティクス、半導体、人工知能な…
ロシアゲートで見る米露 板挟みになるトランプ氏
巧妙なトリックの関係 先日トランプ大統領は自身のツイッターで、ロシアが昨年の米大統領選に介入した疑惑、いわゆるロシアゲートに基づき、新たな経済制裁を課したことを受け、米露関係が歴史上危険な状態にあるとつぶやいた。米露関…
NATOのテロ対策の役割 サイバー戦含め再構築を
早期識別と法執行強化 今月3日のロンドンブリッジでのテロ事件のわずか2週間ほど前、同じく英国のマンチェスターで「イスラム国」(IS)によるテロ爆破事件が起きた。強い指導力を謳(うた)うメイ首相の下ながら、今年既にテロは…
北朝鮮めぐるサイバー戦 エスカレートする報復
米のサイバー破壊工作 北朝鮮の核武装の脅威で日米韓が揺れている。 韓国内に米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備を決定し、トランプ大統領は4月2日付の英紙でのインタビューで、「中国が北朝鮮に圧力を掛け…
露・NATOの緊張 問われるインテリジェンス
米大統領選に操作関与 2017年の幕開けは、自由でグローバルな国際秩序に対する揺さぶりから始まった。市場の変革のみならず、安全保障、外交政策にかかる国際政治の在り方についてスピーディーな対応を余儀なくされている。各界と…
日露首脳会談の結果 領土譲らず実益得る露
安保認識甘い経済協力 60年前の1956年の日ソ共同宣言以来、冷戦時代の歴史が未(いま)だアジアにつきまとっている。 安倍首相が15~16日に臨んだプーチン大統領との今年4回目の首脳会談は、日露間の膠着(こうちゃく)…
ロシアとの戦略的対話 新関係は潔い4島返還で
孤立に追いやる米欧 プーチン大統領の今年12月の来日が決定し、北方領土問題かつ今後の日露平和条約交渉の展開に我が国では大きな関心を呼んでいる。戦後70年以上たった今、両国の打開策に期待が集まる。 ロシアは冷戦後、「疑…
サイバーで産業狙う中国、南シナ海判決では比を攻撃
「ハイブリッド戦争」の脅威(下) 日本安全保障・危機管理学会主任研究員 新田容子氏に聞く 中国は南シナ海、東シナ海で力による現状変更を行い、サイバー戦もしている。ハイブリッド戦争とみることはできるか。 中国は米国からも…
電力止めたサイバー攻撃、集団防衛も一枚岩になれず
「ハイブリッド戦争」の脅威(中) 日本安全保障・危機管理学会主任研究員 新田容子氏に聞く 北大西洋条約機構(NATO)加盟国にサイバー攻撃が頻発している。 サイバーは、ハイブリッド戦争のいわゆる軍事行動でもコンフリクト…
NATO首脳会議の焦点、 狙われるバルト3国の一角
「ハイブリッド戦争」の脅威(上) 日本安全保障・危機管理学会主任研究員 新田容子氏に聞く ロシアの仕掛ける「ハイブリッド戦争」、中でもサイバー攻撃への対策が北大西洋条約機構(NATO)の懸案となっている。7月の首脳会議…
NATO・リトアニアの事例 対露情報戦略を見直せ
ロシアからの攻撃増加 今、世界は情勢の変化に限りなく翻弄(ほんろう)されている。事が起こって分析を急ぐのが精一杯であり、先手を打てずにいる。 戦略の練り直しを迫られている北大西洋条約機構(NATO)の動きおよびリトア…
エストニアのサイバー防衛 小国のデジタルイノベーション
大国不利な非対称空間 現代、コンフリクトが起こるところにサイバーオペレーションあり、といっても過言ではないだろう。 今日の戦いでは、サイバーパワーを発揮することで、小国でもタイミングを見計らい、意表を突くことで、大国…
アップル・FBI論争 官民に課題残すテロ対策
脆弱性に対峙する米国 米国で昨年末に発生したテロ事件の犯人の1人が持っていたiPhone(アイフォーン)のデータにアクセスできるよう、米連邦捜査局(FBI)がロック解除を求めるという事態が物議を醸している。アップル(A…
ISのサイバージハード 政府、法執行機関、企業が連携を
パワフルなテロ戦略に 過激派組織IS(以下IS)の国家樹立宣言(2014年6月29日)から1年半以上が経過した。ISによるテロ攻撃は引き続き今年のグローバルリスクに挙げられている。 現在、国際世論に大きな影響を与えて…
防げなかったパリ事件 驚愕のISサイバー活用
脅威の性質が変わる 今年はパリのシャルリ・エブドを襲った連続テロ事件で幕が明け、「イスラム国」(以下IS)によるパリ同時多発テロにより、グローバルな安全保障のあり方が劇的に変わろうとしている。 米国でのISに関連する…
海外サイバー戦争動向 “戦闘”能力を蓄える各国
国家主導でパワー強化 この数年、我が国のサイバーセキュリティーの対応姿勢には2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を見据えた著しい進化が見られるが、各国同様、脆弱(ぜいじゃく)性の解決にはいたっていない。日米防…