米政権、台湾へ新型F16売却へ
対中国、海峡有事に備え
米政府は、戦闘機F16、66機を台湾に売却することを承認した。この30年間でこれほどの規模の軍用機が台湾に売却されるのは初めて。米政府当局者によると、決定は間もなく発表され、総額は130億㌦に上ると見積もられている。
売却されるのは新型のF16V。米政府は、戦闘機以外にもミサイルなどの新型兵器システムの台湾売却を決めている。オバマ前政権は、中国を刺激することを恐れて、台湾が求めていた戦闘機F15の売却を拒否しており、F16売却承認はこれを覆すもの。
F16が最後に台湾に売却されたのは、1992~99年が最後で、この間に160機が売却された。昨年9月には3億3000万㌦のF16のスペアパーツの売却が発表され、中国外務省報道官は「国際関係を律する国際法、基本的な基準に反し、一つの中国政策、三つの中米共同コミュニケの原則に反する」と強く非難した。
トランプ政権の最初の2年間で8億1550万㌦の武器が台湾に売却されている。
中国軍機はこのところ、台湾周辺で挑発的な飛行を繰り返すなど、台湾への威嚇を強化している。国防総省の中国軍に関する2018年報告によると、中国は16年から17年の1年間で、攻撃機、爆撃機の数を400機から530機に増強、台湾海峡の軍事バランスは中国に有利となっている。
台湾軍は10年以上前から、空軍力の強化のために、老朽化したF16などの更新の必要性を訴えてきた。台湾の防衛当局者は2009年12月、老朽化のため、訓練飛行で10人のパイロットの命が失われたことを明らかにしていた。
米政府は昨年4月、台湾への潜水艦建造技術の移転を承認、現在、中国海軍に対抗するために必要な潜水艦の設計が進められている。また、中国内の都市を射程に収める地上・空中発射対地巡航ミサイルの製造でも台湾を支援している。
米国防総省は昨年1月には、250基の対空ミサイル、スティンガーの売却を承認した。
国際評価戦略センター上級研究員のリチャード・フィッシャー氏は、「F16売却は称賛されるべきだが、台湾海峡情勢に米国はなぜ関与しないのか」と、米国の積極関与を主張、武力衝突を抑止するために「F35に加えて、新型の長距離対艦・対地ミサイルを売却すべきだ」と最新鋭のステルス戦闘機F35の台湾売却を主張した。
中国は、台湾を射程に収める弾道ミサイル、巡航ミサイル1200発を配備しており、紛争時には、数百発のミサイルが、台湾の軍事基地などに向かって発射されるとみられている。











