[明日へのノート]
認知症を知る
厚生労働省によると、2013年現在、認知症の高齢者は462万人。予備軍を含めると800万人に達している。つまり、日本は65歳以上の4人に1人が認知症及びその予備軍と言われる時代に入ったことになる。 そんな数字を実感す…
まず隗より始めよ
中国の故事成語に「まず隗(かい)より始めよ」がある。「大事を始める時にはまず卑近なことから始めよ」とか「まず言い出した者から着手すべきだ」という意味だが、最近、改めてこの故事を見直すことがあった。 テレビ朝日の党首討…
女子大の存在意義
先月、公立の福岡女子大学に入学を希望した社会人男性が、男性であることを理由に入学願書が受理されないのは違憲として、大学側を提訴した。 栄養学科を選考できる県内の公立大学は福岡女子しかなく、費用的にも県外の大学に通うの…
消える中吊り広告
円安を追い風に、日本を訪れる外国人観光客が増えている。今年は10月までに1100万人を突破。過去最高となった昨年の年間記録(1036万人)を既に超えてしまった。この調子だと、年末には1300万人に達するという。 東京…
ハイブリッド留学
都内の某私学大学が“ハイブリッド留学”なるものを始めた。英語の“ハイブリッド”とは、異なる種のものを組み合わせたものを意味する。何がハイブリッドかと言えば、日本で行っている授業をそのまま現地で日本語で行い、英語はホーム…
母校の児童減少
東北の片田舎にある筆者の母校(小学校)が今年3月、その歴史を閉じた。尋常小学校として開校してから125年。前身から数えれば141年になる。ごたぶんに洩れず、わが故郷も子供の減少に歯止めがかからなかったのだ。 子供の頃…
新しい着想を得るには
「ここに補助線を引くと、この直線(角)とこの直線(角)が平行(同じ大きさ)になって…」 中学の数学の時間。図形の問題で、こんな説明をよく聞いた。その時は「あっ、なるほど。そうか!」と思ったが、実はこの説明、何の助けに…
アーミッシュの思慮深さ
今月19日、TBSテレビのバラエティ番組で、米国のキリスト教一派「アーミッシュ」を紹介していた。世俗社会と一線を画して電気や車を使わずに自給自足で暮らすことで知られる。 筆者もワシントン特派員時代に、そのコミュニティ…
個人主義の源流
先日、よく立ち寄る古本屋に面白そうな本があったので、さっそく買って読んだ。チャールズ・ビーアド博士とメアリ夫人共著の『アメリカ精神の歴史』(岩波現代叢書)で、高木八尺、松本重治両氏の翻訳で1954年に出版された。 近…
本を「自炊」する
最近、タブレットで電子本を読んでいる人を見掛ける。ITに疎い筆者は、夏休みが終わる頃、息子から「自炊しようかと思うんだけど、自炊の道具を買っていいか」と聞かれ、初めて「自炊」にはもう一つの意味があることを知った。 タ…
奥さんに姥桜?
文化庁の「国語に関する世論調査」が公表された。電子レンジで加熱することを「チンする」という人が9割以上に達するのは、「日本語の多様性や造語力を示す用法」と、同庁は分析する。 とは言え、社会に浸透してほしくない言葉もあ…
わが家の歴史
もうかなり昔の、記憶にかすかに残るぐらいのことになってしまったが、小学校の時に、自分の家の歴史を調べてきなさいという宿題があった。さっそく祖父と祖母に昔の話を聞いてまとめたが、それも一つの契機になって、祖父母からいろい…
近居のススメ
「近居促進制度」というのをご存知だろうか。1年前にUR賃貸住宅が始めた制度で、54万戸を対象に近居世帯の家賃を5年間5%割り引くという優遇制度だ。 子育て・高齢者等世帯と支援する親族世帯の双方が同一駅圏に近居すること…
食育と「家風」
今はあまり耳にしなくなったが、「家風」ということばがある。その家に特有な生活様式や気風、習慣などを指すが、筆者はそれが最も端的に表れるのは毎日の食事の場だと思っている。 筆者の場合は、家業のため仕事場の隣の土間の部屋…
過剰な「個人情報保護」
昨年の春頃だった。ある洋服店で買い物をした際、メール会員になれば割引になると勧められた。生来の素直さから、店員に言われるまま書類に、携帯電話のメール・アドレスを記入した。 その直後から、迷惑メールが頻繁に着信しだした…
挑戦の舞台はアジア
この10年、定年後の移住先として東南アジアに目が注がれている。理由は「安・近・暖」。物価が日本の3分の1と安く、距離が近く、1年中暖かいからだ。 筆者の知人に、20年ほど前にマレーシアのペナンに渡り、事業を始めた人が…
人生80年、何をする
「人間50年、下天のうちをくらぶれば夢幻のごとくなり。…」 NHKの大河ドラマ『軍師官兵衛』で織田信長が述べたいわゆる辞世の句だが、歴史的には、信長が好んだ幸若舞『敦盛』の一節で、桶狭間の戦いに出陣する信長が直前に清…
子供に声かけは変質者?
「栃木小1女児殺害事件」の容疑者が今年6月、事件発生から8年半を経て逮捕された。その後、岡山県倉敷市で女児監禁、千葉県松戸市で女児誘拐未遂と、幼い子供を狙った事件が相次いでいる。こんな物騒な時代だから、保護者や学校関係…
人口減少の衝撃
全国知事会が、最近少子高齢化を背景とする人口減少問題を集中討議して「少子化非常事態宣言」を採択した。討議の基礎資料となったのが、民間の研究機関「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会が今年5月に公表した全国の市町村別の…
男女別学のメリット
戦後、GHQの教育政策により、公立校のほとんどが男女共学に変わった。いま高校全体で女子校は6・88%、男子校はわずか2・8%。別学は1割以下だが、東大合格トップ10の8校を占めるほど高い学力を誇る。 先日、品川女子学…
世界で戦える人材育成
サッカーのW杯関連テレビ番組が開催地ブラジルの子供たちの遊び風景を映し出していた。貧困地区の路上で、裸足(はだし)でボールを追い回す子供が「将来はネイマールのような選手になりたい」と夢を語っていた。 最近帰省した折、…
今時の若い者は…
「今時の若い者は…」というのは、年老いた人間が息子や孫の世代に対して一言、物申す時の決まり文句だ。これは昔も今も変わらない。 「現代青年の師弟関係は、全く乱れてしまって、美(うるわ)しい師弟の情誼(じょうぎ)に乏しい…
異文化観光客のおもてなし
日本を訪れる外国人旅行者が昨年、初めて1000万人を突破した。観光立国を目指す政府は将来、この数を3000万人に増やす計画で、観光ビジネスはおせおせムードだが、計画成功のカギとして強調されているのが“おもてなしの心”。…