挑戦の舞台はアジア
この10年、定年後の移住先として東南アジアに目が注がれている。理由は「安・近・暖」。物価が日本の3分の1と安く、距離が近く、1年中暖かいからだ。
筆者の知人に、20年ほど前にマレーシアのペナンに渡り、事業を始めた人がいる。その当時は、マレーシアに行く日本人はそれほど多くなかった。そのうち、日本人向けのロングステイ事業が当たり、いまや忙しく両国を往来している。
マレーシアの場合、ビザなしで90日間の滞在が可能だ。MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)という10年の長期滞在ビザを取得すれば、配偶者や21歳未満の子供・60歳以上の親同伴も可能という。定年後、年金の範囲内で快適な生活ができることから、2006年以降、長期滞在先の第1位は常にマレーシアだ。
知人によると、最近は教育目的で若い世代が移住するケースが増えているという。マレーシアはかつては留学生送り出し国の筆頭だったが、いまは世界から約8万人の留学生が集まる留学受け入れ国に転換した。イギリスやオーストラリアなど海外の大学と提携し、マレーシア国内で海外の名門大学の学士を取得できることで、人気を集めている。
多国籍多文化の強みは、何といっても多言語を習得しやすいこと。アジアの教育のハブ化を目指すマレーシアは、グローバル人材育成には最高の教育環境と、知人は実感を込めて話す。
ここ数年、高い費用が障壁となって日本人の米国留学は激減している。しかし、アジアに目を向ければ、費用面のハードルが低くなるため、留学の選択肢は広がる。留学や長期滞在ビザを活用して、20年後に起業家として成功する道も夢ではない。
今後、人口増加が著しいASEAN市場はあらゆる意味で可能性の宝庫と言える。若者がチャレンジする舞台としてアジアに想像の翼を広げてみるのもいい。(光)