通常国会が開幕 活発な与野党論戦に期待
日本で一番エラい者は誰かという質問に対して、大抵の人は総理大臣と答える。これは間違っていないけれど正確でもない。その総理大臣は通常は与党第一党の党首が選ばれる。そうすると与党の党首が一番エラいということになる。
しかし、これも考えてみると不合理だ。与党の党首は首相になる資格はあるが、なれるという保証はない。建前上はそうなっているが、建前と現実は必ずしも一致しないのが世の常だ。
いまの与党自民党の党首が安倍晋三総裁であることを知らない人はいない。しかし次の総理総裁も安倍氏であると言い切れる人はいない。
一方、野党の願いは選挙で勝って政権の座を狙うことだ。しかしこの目的は遠大で簡単には達成しない。
野党が総選挙で勝てば話が早い。しかし総選挙で勝ち政権の座を確保するのは難事中の難事だ。何しろ、野党第一党の民主党は政権への対決姿勢を丸出しにしているがそれが国民に評価されると勘違いしている。民主党と2議席差の衆院53議席で野党第二党の地位にある日本維新の会は、東京と大阪の各グループが政策でまとまりを欠いているし、最近、みんなの党から飛び出た結いの党との接近話に警戒感が出てもたついている。これでは、選挙があっても衆参両院で多数を握る自公両党に立ち向かうことはできっこない。
さて、永田町では通常国会が始まった。会期150日の長丁場だ。何が起こるか分からない。また分からなくても不思議はない。しかし、今の時点で前途を予想するならば、会期は長くても、毎年の通常国会と大きな変化はなさそうだ。
しかし政治は水物だ。時の流れと、その場の変化に応じて千変万化する。とんだことにならないとは限らない。政治は時の動きに敏感だ。後半国会の焦点の集団的自衛権の行使容認問題では連立与党の連携がガタガタになる可能性がないとも限らない。与野党ともに国会挙げて活発な論戦を行うべきテーマだ。
だが、首相が突然、国民に信を問うと言い出して与野党ともに大嫌いな解散という事態を計算しておく必要もある。解散はガラガラポンだ。
日本で一番保守的なのは永田町だという説があるが、冗談にしても笑ってはいられない。政治の予想は難儀だ。神様以外誰も知らない。しかし、せめて去年の繰り返しだけは御免蒙りたいものだ。これから6月22日までの与野党のケンカ場の舞台の幕が開いた。
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