バイク2人乗り禁止で波紋のフィリピン


地球だより

 マニラ首都圏ではバイクを利用した強盗や殺人が急増し、警察が取り締まりに頭を痛めている。犯人がバイクに2人乗りして犯行を行うことが多いため、「ライディング・イン・タンデム(2人乗り)」という言葉が、バイクを利用した犯罪の代名詞となっているほどだ。

 犯行の手口は極めて単純で、バイクでターゲットに近づき、後ろに乗った犯人が銃などで被害者を脅し金品を奪うというもの。バイクは渋滞の合間を縫って逃走するため追跡は困難で、バイクは犯罪者にとって最適のツールと化している。

 このほど元大統領で現マニラ市長のエストラダ氏は、多発するバイク犯罪への対策として、市内でバイクの2人乗りの禁止を検討していることを明らかにした。しかしバイク利用者からは、「犯罪対策のツケを一般のバイク利用者に押し付けるな」といった内容の批判が相次いでいる。

 フィリピンでも小型バイクは、庶民でも手が届く交通手段として人気を集めており、家族や子供の通勤通学の送迎にバイクを利用する市民も多く、もし2人乗りが禁止されれば、かなり不便を強いられることになる。

 2人乗り禁止のアイデアは、市長にとっても苦肉の策なのだろうが、市民の生活に大きな影響を与えては本末転倒のような気がする。警察のパトロールや検問を増やすなど、根本的な治安対策を望む声が多いのは当然だろう。

(F)