自公 野党共闘を追及、立民 懸念払拭に躍起


消費減税、大企業負担増で火花
公示を前に与野党討論会


日本記者クラブ主催の党首討論会で討論する与野党の党首=18日午後、東京都千代田区

日本記者クラブ主催の党首討論会で討論する与野党の党首=18日午後、東京都千代田区


 各党党首は衆院選の公示を翌日に控えた18日、日本記者クラブ主催の討論会に臨んだ。岸田文雄首相(自民党総裁)と立憲民主党の枝野幸男代表は選挙戦の争点となる分配策をめぐり火花を散らした。首相は、基本政策で立場が異なる立民と共産党の共闘に疑問を呈した。

 ◇消費減税「考えない」

 「消費税の減税、増税を繰り返すと買い控えや消費の減退といった副作用が大きくなる」。首相は枝野氏が消費税5%への減税を主張していることに触れ、こう指摘。減税の財源が法人税なら「インパクトが大きい。増税と経済の影響をどう考えるのか」とただした。

 枝野氏は消費税減税に関し「少なくとも3年から5年程度、消費を誘導しなければならない」と主張。その上で「法人税が財源ではない。100年に1度の危機への対応策だから国債で対応する」と応じた。

 立民は、年収1000万円程度までの個人を対象とする1年間の所得税実質免除や、困窮者への年12万円給付も公約に掲げる。首相は、実現には巨額の財源が必要で、財政健全化への影響は避けられないと世論にアピールする狙いがあるとみられる。

 これに対し、枝野氏は法人税について資本金100億円超の企業に比べ、それ以下の企業の方が負担率が高いと指摘。首相に「大企業の負担率を上げるべきだ。これができずに分配も何もあったものではない」と迫った。

 首相は、金融所得課税を含め富裕層への負担強化は「分配という点で大きな議論」と認めつつ、「経済全体の活力や循環と合わせ、具体的なありさまを考えていくのが道筋だ」と主張。各党が「分配」を掲げる中、枝野氏は「結局は超大企業に対して恩恵を施してきた政治は変わらない」と自民党を切り捨てた。

 消費税減税は、討論に参加した共産や国民民主党、日本維新の会などほぼ全ての野党が訴えている。一方、首相は「社会保障を支える重要な財源だ。今の段階で触ることは考えるべきではない」と否定した。

 ◇共同責任負わず

 200以上の小選挙区で候補を一本化した野党共闘も論点となった。立民は共産、社民、れいわ新選組の3党と民間団体「安保法制の廃止tp立憲主義の回復を求める市民連合」を介し、安全保障関連法の一部廃止など20項目の共通政策で合意。国民民主とは個別に協定を結んだ。共産は野党政権が誕生した場合、限定的な閣外からの協力で合意している。

 首相は「共産党は自衛隊を憲法違反、日米安全保障条約は廃棄と主張している」と指摘。「有事の場合に調整がうまく進むのか」と疑問を投げ掛けた。枝野氏は「事前に協議しなければものを進められない運用をするつもりはない。責任を持って有事には毅然(きぜん)と対応する」と反論した。

 公明党の山口那津男代表は「『閣外協力』と言う共産党の候補者がどのような政権選択を提示できるのか」と追及。枝野氏は「基本的には(立民が)単独政権を担う。20項目については3党、包括的には国民民主の協力を得ながら政権を動かす」などと懸念の払拭(ふっしょく)に努めた。

 共産の志位和夫委員長も、閣外協力について「全面的に共同責任を負うのではなく、限定的な協力だ」と説明。「20項目が自公政権のゆがみをチェンジする要になる」と声を張り上げた。

(時事)