岸田首相、実績づくり急ぐ 枝野氏は政権交代訴え


与野党 衆院選へ本格始動

(左)記者団の取材に応じる立憲民主党の枝野幸男代表=15日午後、札幌市内、(右)新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する岸田文雄首相=15日午前、首相官邸

(左)記者団の取材に応じる立憲民主党の枝野幸男代表=15日午後、札幌市内、(右)新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する岸田文雄首相=15日午前、首相官邸

 衆院解散から一夜明けた15日、与野党党首らは4年ぶりの政権選択選挙に向けて活動を本格化させた。岸田文雄首相(自民党総裁)は、最大の争点である新型コロナウイルス対策と経済政策で実績づくりを急いだ。立憲民主党の枝野幸男代表は街頭で政権交代を訴えた。衆院選は19日に公示、31日に投開票される。

 首相は15日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を首相官邸で開き、年内のワクチン3回目接種開始や経口治療薬実用化を柱とする対策の全体像の骨格を取りまとめた。感染第6波に備えて具体策の検討を進め、11月の早い時期に全体像を策定するよう関係閣僚に指示した。

 続く閣議では看板政策「新しい資本主義」の具体化に向け、首相直轄の「新しい資本主義実現本部」設置を決めた。事務局の看板掛けに出席した後、「新内閣にとって目玉の取り組み。いよいよこれから始まる」と記者団に意欲を示した。相次いで開いた会議の合間には執務室で閣僚一人ひとりと個別に会い、「選挙中も公務第一」としつつ、選挙応援にも対応するよう促した。

 一方、枝野氏は北海道入りし、各地で演説した。札幌市では「安倍晋三元首相が『悪夢』と言った民主党政権時の実質経済成長率より、安倍政権の成長率の方が低い。悪夢より悪い安倍政権は何なのか」と皮肉り、自民党政権を「何も変わらない。まっとうな政治はできない」と批判した。

 この後、枝野氏は記者団の取材に応じ、首相肝煎りの政策に触れ、「『新しい資本主義』の説明をしていない。意味が分からない」と酷評した。

 公明党の山口那津男代表は報道各社のインタビューで、自民党が公約した防衛費増額について「国民の理解を得られない」と苦言を呈し、政権の「ブレーキ役」としての存在をアピールした。

 共産党の小池晃書記局長は東京都内の集会で、自民党が立民、共産両党の選挙協力を捉えて「民主主義の政権と共産主義が入る政権の争い」と訴えていることに対し、「野党の共通政策のどこに共産主義と書いてあるか」と反論。「民主主義を踏みにじる政権か、守る政権かの戦いだ」とやり返した。

 日本維新の会の馬場伸幸幹事長は東京都内で街頭演説し、「どの政党も『お金を配ります』ばかり。財源はどうするのか」と指摘。「私たちはまず、改革を行って財源を生み出す」と力説した。
(時事)