コロナ禍でホームスクーリングが急増ーオーストリアから
地球だより
親が子供を学校に通わせず、自宅で勉強させる傾向が強まってきた。オーストリア文部省によると、新学期が始まる前に3600人の子供が学校登録を抹消し、その数は最大6000人になると見込まれている(学校登録を抹消した生徒の4分の1は非公認の私立学校に通っているが、立場はホームスクーリングと見なされる)。
例えば、ケルテン州では昨年、180人の生徒が学校登録を解消し、自宅で勉強している。新学期には330人の生徒が学校の授業には姿を見せていない。シュタイアーマルク州では新学期スタート前に1097人の生徒が学校登録を解消した。前年度は423人だった。
理由はさまざま考えられるが、一つは学校内の新型コロナウイルス規制への抵抗だ。定期的な抗原検査、マスク着用、ワクチン接種強制に対し、親たちの不信感が高まってきている。
これに対し、連邦政府は学校登録抹消のハードルを高くすることを検討している。現在は学校当局が保護者による抹消要求を拒否することはできない。親が子供を自宅で教育する権利が憲法で保障されているからだ。
ホームスクーリングでは、学期の終わりに外部試験を受けなければならない。そこで学習成果がチェックされる。ホームスクーリングではグループ学習などができないため、精神的な成長にとってマイナスとなると懸念されている。2010年以降、毎年約2000人の子供が自宅で勉強していたが、今年はその数が3倍に増える見通しだ。オーストリアの教育システムにとって無視できない問題だ。
(O)