東京五輪・パラリンピックは「やってよかった」。
「大会が成功したかどうかは歴史が証明してくれると思う」。東京五輪・パラリンピックの全日程終了から一夜明けての会見で、橋本聖子組織委員会会長が語った言葉である。
普通は歴史が「判断」とすべきところを「証明」と言ったのは、言外に「証明」への確信があったのではないか。大会の運営責任者が「成功した」と自画自賛するわけにはいかない。
新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で、開催すべきかどうかが問題となった。しかし「新型コロナを人類が克服した証し」としての開催意義がクローズアップされた。そして大過なく終了し、スポーツの力で世界を一つにしたのだ。
もちろん、無観客開催となって文化発信や交流の機会も大幅に制限され、当初目指していた成功からは遠いものとなった。しかし「日本が大会を開催する力を持っている国なんだということを世界に発信することができた」(橋本会長)のは、何にも勝る成果である。
はっきりさせておかなければならないのは「やってよかった」ということである。実際、世論調査では「開催してよかった」が7割を超している。
開幕以降も、共産党などは今すぐにでも中止すべきだと言い続けてきた。メディアの中には、日本のメダルラッシュによる高揚感が人流を増加させているという根拠定かならぬコメントを流すところもあった。大会を終えて総括が最も必要なのは、開幕に反対した野党と日本のメディアである。