中国が新型ミサイル発射台、北に輸出か


ビル・ガーツ

ビル・ガーツ氏

 中国共産党はインターネットへの規制を強化しているが、ネットで中国の軍事機密が公表される事例が相次いでいる。新型の移動式ミサイル発射台が公表され、アナリストらは、北朝鮮に輸出されるのではないかとみている。

 中国の軍事問題の専門家で、国際評価戦略センター上級研究員のリック・フィッシャー氏は、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に中国の移動式発射台(TEL)とみられる写真が投稿されたことを明らかにした。この写真はその後、ツイッターにも投稿された。

 この発射台は、カバーが掛けられた短射程または中射程のミサイルを搭載しており、写真が公表されたのは初めてという。フィッシャー氏によると、北朝鮮に売却され、大陸間弾道弾(ICBM)「火星14」「火星15」に使用されている中国製の発射台に似ている。

 分析によると、中国航天科工集団(CASIC)が製造したものとみられている。CASICは、約10年前に密(ひそ)かに北朝鮮に引き渡されたICBM発射台の製造にも関与していた。

 フィッシャー氏によると「運転台の形は、北朝鮮のミサイル(火星13、14、15)に使用されているCASIC製のTELに酷似している。しかし、火星14、15に使用されている発射台が16輪から18輪であるのに対し、12輪と短くなっている」。

 人民解放軍の中距離ミサイル「東風26」の発射台にも似ているが、ホイールの配置は違っているという。

 フィッシャー氏は、「北朝鮮の新型ミサイルがこの新型TELに搭載される」可能性があると指摘した。中距離弾道ミサイル「ムスダン」に使用される可能性もあるという。

 フィッシャー氏は、「中国政府への監視を強化する必要がある。CASICは2011年夏に高度な大型TELの北朝鮮への輸出を開始した。ところが、米政府はCASICに制裁を科していない」と指摘した。

 CASICは、複数の固体燃料宇宙船の開発を進め、米企業と競合している。トランプ政権が、北朝鮮への発射台売却でCASICに制裁を科せば、CASICの宇宙事業を弱体化させることもできる。