米、ロシア極右組織をテロ指定

ビル・ガーツ氏

ビル・ガーツ氏

 米国務省は、ロシアの白人至上主義極右組織「ロシア帝国運動(RIM)」をテロ組織に指定した。米国が白人至上主義グループをテロ組織に指定するのは初めて。欧州で民族主義活動家らに軍事訓練を施したり、米国人を組織に取り込もうとしていたことが指摘されている。
 国務省のセールス・テロ対策調整官が6日、動画を通じて発表したところによると、RIMの指導者3人もテロリストに指定。セールス氏によると「このような指定は前例がない」という。

 RIMは、この3人のうちの1人、アナトリエビッチ・ボロビヨフが2002年に創設、ロシア帝国や君主制の復活を主張している。ロシアだけでなく欧州などで民族主義組織に軍事訓練を施し、民兵を養成していることが明らかになっている。

 RIMの活動が明らかになったのは、スウェーデンの3人の極右活動家の捜査の過程でのこと。3人は17年の移民収容施設などを標的にした2件のテロ事件で起訴され、ネオナチ組織「ノルディック抵抗運動」とつながっていた。国務省は、この3人がRIMの訓練を受けていたことを明らかにしている。

 米情報当局者によると、連邦捜査局(FBI)は昨年、RIMが米国の右派勢力「オルトライト」に接近していたという情報をつかんでいた。

 また、RIMのメンバーが、17年8月のバージニア州シャーロッツビルでの右派集会「ユナイト・ザ・ライト」の準備にかかわっていた複数の人物に接触していた。

 この集会のオーガナイザーの1人でオルトライト活動家のマシュー・ハイムバック氏はインタビューで、欧州でRIMに接触したことを認めた。すでに解散したネオナチ極右組織「伝統主義者労働者党」のリーダーだったハイムバック氏は、RIMから軍事訓練を受けていないとしながらも、「政治思想は共有」していると述べた。

 RIMは、ロシア情報機関とも関連があるとされ、ウクライナ東部の新露勢力を支援している。極右組織に詳しいウクライナ人政治活動家のアントン・シェコブツォフ氏は、RIMは「普通の極右組織ではなく、準軍事的組織であり、民主主義社会にとって脅威となりうる」と自身のサイトで指摘している。