自民1強の時代 驕り高ぶりが最大の敵


 昨年の1月始めと、今年の正月早々の永田町を比べてみると殆ど変わりがない。しかし、この間365日の時間が経過している。

 生き馬の目を抜くという油断も隙もない永田町も案外無事平穏な日々を送り迎えしていたと思わないわけにはいかない。

 しかし今年はそうは問屋がおろさない。何か起こりそうな雲行きだ。自民党政権が続いている。日頃不平不満の野党勢もいまはそれなりにおとなしい。互いに口だけは達者だが行動が伴わない。

 さてこれからの向こう1年、永田町はゴタゴタが絶えないだろう。しかし、小さなゴタゴタの連続では大事件に至らない。昨年の永田町が見せた毎日の再来にとどまるだけだ。

 政変とは政権が変わることを意味する。そんな政変は今年中の永田町では起きそうもない。

 しかし政治は生きものだ。何が起こるか分からない。また起こっても不思議はない。4月には消費税が8%に上がる。上昇機運の日本経済に冷や水となる可能性がある。また、その後には集団的自衛権の行使の憲法解釈変更問題が控えている。

 一年が終わり年が改まると、与野党はそれぞれ新しい年の決意と抱負を語ってやまない。結構な政策がずらりと並ぶ。しかし、政治は口先だけでは変わらない。人が変わらない限り旧態依然だ。

 人を変えるためには衆院解散が必要となる。ところが衆院議員は与党も野党も解散が嫌いだ。放っておけば任期イッパイまでやる気でいる。

 思い切って解散するつもりなら与野党が国会で真剣に対決しなければならない。ところが与野党ともに解散には冷淡だ。ことごとに対立する与野党がこの件に関しては言わず語らず仲良く同一歩調を取っている。永田町七不思議のひとつと言わなくてはならない。

 戦後から最近まで永田町は二大政党対立時代を続けてきた。随分呆れるような無様なシーンも見せてもくれたが、結論的にいえば、日本の民主政治は決して落第ではない。及第点を付けることができる。それなりに機能したといえるだろう。

 しかし、今や自民1強の時代だ。そろそろ政権与党の本性が出ないとも限らない。いや、すでに政権運営などに首相の強引さが出始めているとの指摘もある。

 大切なのはいかに多くの賛成を得て政権運営を進めるかであり、何よりも謙虚さが肝心だ。それがなければ国民の支持も離れていく。歴史が示すように驕り高ぶりは最大の敵だ。

(I)