3D印刷銃、データ公開差し止め 米連邦地裁


 米首都ワシントンの連邦地裁は31日、テキサス州の「ディフェンス・ディストリビューテッド(DD)」に対し、3Dプリンターで製造可能な銃のインターネットデータ公開の一時的な停止を命じた。所有者の特定できない銃の製造が可能になることから、公開に反対していた銃規制支持派に軍配が上がった格好だ。

3次元(3D)プリンターと銃

3次元(3D)プリンター(奥)で製造された銃(手前)=2013年7月、米メリーランド州(AFP時事)

 データ公開はオバマ前政権によって停止されていたが、トランプ政権は公開を容認、8月1日にDDがデータを公開する予定だった。

 ラズニク地裁判事は「取り返しのつかない被害をもたらす可能性がある」と差し止め命令の理由を説明、10日にも審理が行われる予定という。メリーランド州など8州とワシントンの司法長官らが、公開の差し止めを求めて提訴していた。

 データ公開によって、3Dプリンターがあれば、個人が無登録の銃を製造できるようになるため、銃規制をめぐって新たな議論が戦わされている。

 セキュリティー専門家らは、金属探知機で検出できず、テロリストに利用される可能性があると警告、銃規制支持者らは、銃所持を禁止された人物らが、ひそかに銃を製造、所持することが可能になると主張している。

 一方、DD側は、情報を公開することは言論の自由で守られた権利だと主張、停止命令に「失望」を表明した。

 トランプ大統領は、「NRA(全米ライフル協会)と既に協議した。筋が通らないようだ」とツイートしたものの、詳細については触れていない。

(ワシントン・タイムズ特約)