2次補正成立、低迷する景気に弾みつけよ
2016年度第2次補正予算が成立した。決定している総事業規模約28兆円の経済対策の第1弾となるものである。
日本経済は最近の円高の影響もあり、内外需とも冴(さ)えず、牽引(けんいん)役不在の低迷状態にある。企業にも奮起を促したいが、まずは政府が率先して経済の持続的拡大へ弾みをつけたい。
実質約3兆3000億円
2次補正予算は一般会計総額で4兆1143億円。国債費が当初見込みを下回ったことなどによる減額補正分を差し引くと、実質的な支出額は3兆2869億円である。
同予算には、安倍晋三政権が進める「1億総活躍社会」実現への施策として、保育所など保育の受け皿整備や介護人材の処遇改善、低所得者向け給付金の給付などを盛り込んだ。また「21世紀型のインフラ整備」として、リニア中央新幹線の全線開業前倒しや大型クルーズ船の受け入れ環境整備、農林水産物の輸出拠点整備、さらに東日本大震災と熊本地震の復興を含む災害対策費が計上されている。
国内総生産(GDP)約500兆円の日本経済にとり、2次補正による景気刺激効果は、単純計算で約0・6%。弾みをつけたい狙いに決して十分とは言えないが、厳しい財政事情の中、勢いのない景気を少しでも上向かせたい。
最近の日本経済は、四半期別実質成長率で15年4~6月期マイナス0・5%、同7~9月期0・5%、同10~12月期マイナス0・4%、16年1~3月期0・5%、同4~6月期0・2%とマイナス成長とプラス成長を繰り返し、14年4月の消費税増税以降足踏み状態が続く。
勢いのあった訪日外国人による高額品購入もすっかり影をひそめ、消費に勢いは戻らぬまま。消費の低迷に海外経済の減速、原油価格の下落、円高の影響などが重なり、日本経済は景気の牽引役が依然として不在の状態なのである。
先日発表された9月の日銀短観でも、景況は大企業製造業で横ばい、大企業非製造業は悪化。3カ月後の見通しは大企業製造業で横ばいのほか、大企業非製造業、中小企業の製造業・非製造業とも悪化の予想である。想定以上の円高に収益を下方修正し、設備投資にも慎重である。要するに、積極的に動けないでいるのである。
東日本大震災以降、心配された経常収支の赤字は改善し、今年8月は26カ月連続の黒字である。これには原油安による燃料輸入額の減少や円高による輸入の円換算額の目減りで貿易収支が改善していることもある。
ただ、喜んでばかりはいられない。輸出の落ち込み以上に輸入が減少しているからである。輸入額の減少は前述の通り、原油安の影響が小さくないが、国内需要低迷の証左でもある。
前年同月比で輸出は11カ月連続減だが、輸入の減少は20カ月連続である。消費に見られる内需の低迷は深刻と受け止めるべきである。
賃上げや設備投資を
企業には、確かに積極的に動きづらい環境だが、消費増、生産増の経済の好循環の形成に向け、さらなる賃上げや設備投資に挑んでもらいたい。