中国で米国人2人拘束、報復か

ビル・ガーツ

ビル・ガーツ氏

 2人の米国人が中国で拘束された。米ニューヨークでビザ不正取得容疑で中国人政府職員、柳忠三容疑者が逮捕されたことへの報復とみられている。

 米国務省当局者は「江蘇省で米国市民2人が拘束されていることを把握している。省政府による訴えを受けたもので、国務省は国外の米市民を支援する責務を果たすとともに、状況を注視している」と述べた。

 拘束されているのは、ジェイコブ・ハーラン、アリサ・ピーターソンの両氏。9月に、第3者を不法に出入国させた容疑で逮捕された。上海近くの江蘇省の施設に収容されている。

 ハーラン氏は、中国で英語を教える米国人の手配を行う「チャイナ・ホライズンズ」の創設者で、ピーターソン氏は副所長を務める。

 この件に詳しい筋によると、逮捕は、柳容疑者逮捕の時期と一致する。

 チャイナ・ホライズンズのサイトによると、ハーラン氏は、02年から中国で英語を教えており、ピーターソン氏は、この8年間、中国を出入りしている。中国は、これまでにも、国外での中国人当局者の拘束に対して、外国人を拘束することで応じてきた。

 昨年12月1日には、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長がカナダで逮捕されると、11人ものカナダ人が不明確な容疑で逮捕された。

 孟氏は、米国の制裁に違反してイランとの取引に関与したという米司法省からの情報を受けて逮捕された。

 14年にはケビン、ジュリア・ギャレット夫妻を逮捕し、でっち上げのスパイ容疑で約2年間拘束した。

 これは、中国人ハッカー蘇斌受刑囚がカナダで逮捕されたことに対する報復とみられている。蘇受刑囚は、戦略輸送機C17、ステルス戦闘機F35、F22の極秘情報を盗み出したとして収監された。

 ハーラン、ピーターソン両氏の逮捕は、中国国際人材交流協会ニューヨーク事務所(CAIEP―NY)首席代表の柳容疑者が9月13日に逮捕されたことを受けたものとみられている。

 柳容疑者については、米国の大学からハイテクを盗み出す中国政府の取り組みに関連したビザ不正取得で長期間にわたり、内偵が進められていたという。