原油汚染でウミガメの死体、緊急事態宣言も ブラジル


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セルジッペ州の海岸に漂着した原油(セルジッペ州環境管理局・ADEMA)

 ブラジル北東部で、原因不明の原油漂着が8月末から続いており、深刻な環境汚染問題へと発展している。

 漂着した原油は、バイア州やセルジッペ州など複数の州にわたって広範囲の地域に被害をもたらしており、汚染によって居住困難となった地域もあることから、緊急事態を宣言する州も出始めている。

 また、同地域の海岸には、原油に汚染されたイルカやウミガメ、海鳥などが漂着している。原油を飲み込んだことが直接の死因と断定されたウミガメのケースも出ており、希少動物の保護も急がれている。

 当初、漂着した原油の質が、ブラジルと国境を接するベネズエラ産の原油に似ていたことから、ブラジル政府は、原油がベネズエラの油田施設やタンカーなどから漏れ出た可能性が高いと批判していたが、ベネズエラ当局は10日にこれを否定した。

 一方、衛星写真でも海面を漂う原油の痕跡などを確認することができないことから、ブラジルの国立再生可能天然資源・環境院(IBAMA)は、沈没したタンカーなどから流出している可能性を含めて原因を調べている。

(サンパウロ 綾村悟)