露軍事演習、中国との蜜月関係に警戒を


 ロシア軍は極東とシベリア地区で冷戦後最大規模となる軍事演習「ボストーク(東方)2018」を行っている。

 17日まで実施される演習には30万人が参加し、軍用機1000機、軍用車両3万6000台、艦船80隻が投入される。30万人はロシア軍全体の3分の1に当たる。

中国軍が初めて参加

 この演習には中国軍とモンゴル軍が初めて参加した。中国軍は兵士3200人、軍用車両900台、軍用機30機を派遣。中国軍とモンゴル軍は、両国とロシアが国境を接するザバイカル地方のツゴル演習場で共同演習を行う。

 ロシアは2016年米大統領選への干渉問題や英国での神経剤襲撃事件などで米国との関係がぎくしゃくしている。14年3月のロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合への制裁も続いている。

 この時期に大規模演習を行うのは、軍事力と東アジアでの影響力を誇示し、北朝鮮問題などを理由に地域で軍事的プレゼンスを高める米国を牽制(けんせい)する狙いだろう。

 これは米国との対立を深める中国と思惑が一致する。中国も貿易問題だけでなく軍事面でもトランプ米政権による圧力が強まっているとみているためだ。米国が中国による南シナ海の軍事拠点化を非難し、多国間軍事演習への招待を取り消したことにも強く反発している。

 ロシアのプーチン大統領は、ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムに初出席した中国の習近平国家主席に「ロシアと中国は、政治面、安全保障、国防面で信頼関係にある」と述べた。会談後には、両首脳がおそろいのエプロンを着けて一緒に焼いたロシア風クレープを食べ、ウオッカで乾杯するなど蜜月関係を演出した。

 今年1~6月の中露交易額は前年同期比で30・2%増加。中露首脳の会談は今年6月以降で3回目となり、両国の関係強化が急速に進んでいる。北朝鮮問題をめぐっても、6月の米朝首脳会談以降も圧力維持を主張する日米に対し、中露は制裁緩和も検討すべきだとの立場を取っている。

 トランプ政権は昨年12月に発表した「国家安全保障戦略」の中で、ロシアについて米国と同盟国を引き離そうとする「危険なライバル」だと主張。トランプ大統領は、台頭する中国や復権を狙うロシアとの「競争新時代」に突入しているとの認識を示した。

 日本にとっても、中露の連携は気掛かりだ。両国が日本の南西や北方で軍事的行動を活発化させた場合に「二正面作戦」を余儀なくされる恐れがあるためだ。ロシアは北方領土の軍事拠点化を進めており、警戒を強める必要がある。

実態踏まえた戦略を

 もっともロシアは、経済力を背景にした中国の極東や中央アジアへの浸透を懸念している。北極海開発に関しても、利害がぶつかっている。軍事協力の面でも、歴史的な経緯から相互不信が根強い。

 日米には、こうした中露関係の実態を踏まえた戦略が求められる。