首相 交渉「粘り強く」 北方領土大会


元島民「時間残されてない」

無観客で行われた北方領土返還要求全国大会であいさつする岸田文雄首相=7日午後、東京都千代田区

 岸田文雄首相は「北方領土の日」の7日、東京都内で開かれた返還要求全国大会に出席し、2018年の日露首脳間合意を踏まえ「領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、粘り強く交渉を進めていく」と述べた。

 18年の合意は安倍晋三首相(当時)とプーチン大統領によるもので、平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言を基に平和条約交渉を加速させることを確認した。

 ただ、その後の交渉は停滞。ロシアは2020年改正の憲法に「領土割譲の禁止」を明記し、昨年来、北方領土で大規模な軍事演習を立て続けに実施している。

 また、コロナ禍のため、ビザなし交流や航空機による墓参などの交流事業も2年前から中断。首相は「早期に再開しなければならない」と訴えたが、プーチン大統領との会談も昨年10月の電話会談だけにとどまる。

 大会は、コロナ禍のため無観客で開催。「法的根拠のないまま76年間占拠され続けていることは決して許されない」とし交渉加速を求めるアピールを採択した。

 元島民の奥泉一子さんは「(元島民は)皆さん高齢になっている。一昨日も1人亡くなられた。私たちには時間が残されていない」と、早期返還を訴えた。