交流人口、年間1000万人時代へ
開館50周年迎えた駐札幌大韓民国総領事館
駐札幌大韓民国総領事 韓惠進氏に聞く(下)
駐札幌大韓民国総領事館が開館したのは50年前の1966年のことであった。2018年に北海道は、開基150年を迎えることから、北海道と同領事館の双方はおよそ3分の1の期間を共に過ごしたことになる。日本と韓国は距離的には近いものの、心情的な距離はいまだに遠いというのが実情だ。ただ、さまざまな問題を抱えながらも着実に交流は拡大の様相を見せている。半世紀を超え、新たな時代に向かって日本と韓国あるいは北海道と韓国が心情的に近い関係を構築するには、どのような処方箋が必要なのか、前回に引き続いて韓惠進総領事に語っていただいた。(聞き手=湯朝肇・札幌支局長)
通理念ベースに信頼構築/民主主義・市場経済・人権
活発化する自治体交流事業/期待される質量両面の発展
近年、日本と韓国の間には歴史問題や領土問題で幾分、ギクシャクした問題があります。日本と韓国がどのような関係であれば最適であると考えますか。

ハン・ヘジン 1985年、国立ソウル大学卒。84年11月に韓国京郷新聞の記者として活躍した後、2001年、バーソン・マーステラ社韓国法人理事に就任。05年に海洋警察庁政策広報担当官、06年に外交通商部通商広報課長、11年に外交部副報道官などを経て、15年4月に第18代駐札幌韓国総領事に就任、現在に至る。2001年に米国ボストン大学大学院ジャーナリズム修士号を取得。ソウル市出身。
韓日間には指摘されましたように歴史認識・領土問題など、簡単には解決できない問題があります。領土問題も歴史認識の延長線上にあり、これは現在の問題でありながら、過去とも繋(つな)がっている問題だと思います。
ところで、韓日間には、現在の問題であり、同時に未来の問題として、両国のより発展的な同伴者としての関係のための「両者関係問題」、北朝鮮の核問題・中国の浮上による新たな東北アジア秩序再構築問題などのような少し広い範囲での「域内問題」、環境・エネルギー・人権など汎(はん)世界的な「グローバル問題」など、両国が共同で対処していかなければならない問題もたくさんあります。
従って、民主主義・市場経済・人権など共通の理念に基づき、両国は深い省察が必要だと思われます。この省察の土台の上に、一部政治家のスローガンやレトリック(修辞)ではない、諸分野での実質的交流で作られてきた信頼が大事だと思いますし、模範的な交流の事例は私たちの身の回りに少なくありません。
具体的に、前の質問で申し上げた2002年韓日ワールドカップ共催も代表的な例です。当時、ワールドカップ誘致のため、両国は競い合いながら、大きな葛藤を生み出したのですが、史上初めての「共催」という形で、大会を成功させ、これを機に、両国間ビザ免除協定が提携され、年間500万人以上が交流する礎になったのです。
一つ面白いのは今年1月、北海道が韓国チェジュ島と友好交流協定を結んだ時に発表した資料によりますと、北海道が交流している国は6カ国(韓国、米国、中国、ロシア、カナダ、タイ)で、地域としては九つの地域ですが、この中で韓国は4カ所(プサン、慶尚南道、ソウル、チェジュ)もあるということです。比較的歴史は短いものの、もっとも活発に交流が行われていると思います。
これは、韓日は最も近い隣国であることを気づかせます。来年初め、札幌と帯広で開かれる「2017年冬季アジア競技大会」、「2018年平昌冬季オリンピック」、そして「2020年東京夏季オリンピック」など大規模な国際スポーツイベントが予定されているのを踏まえた上、少なくとも、来年の両国交流人口は史上最高の600万人を超え、近い将来両国の観光担当部所が期待している年間1000万人を超える時代を迎えると思います。この目標が実現すると、韓日間交流の新たな里程標となり、このような模範的交流が相互信頼に繋がり、両国関係はより一層発展していくと思います。
今後、韓国と北海道がさらに交流を深めていくにあたって、総領事館の役割についてお話しください。
今年、駐札幌大韓民国総領事館は開館50周年を迎えます。わが政府はかつて北海道の重要性を考え、韓日国交正常化後、その翌年である1966年に札幌に当館を開館しました。
当館は去る50年間を自ら評価し、新たな50年をどのように迎えるのか悩んだ末、申し上げたスローガンや修辞ではなく、韓国と北海道間の実質的な交流で信頼を積み重ねている団体を顕彰する事業を新たな50年の始まりとし、推進しております。
具体的な例を挙げますと、北海道市民団体が韓国の市民団体と交流をしながら、戦争時に亡くなった韓国人犠牲者の遺骨を韓国に返還する活動をしてきた中、昨年、韓日国交正常化50周年の一環として「70年ぶりの里帰り」という題名で韓国人遺骨返還行事を成功的に済ませた「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」を代表し、同団体の共同代表である殿平善彦・一乗寺住職を韓国外交部長官表彰に薦め、去る4月に、同団体約40名をお招きし、表彰伝達式および記念会を開催したことがあります。
また、6月9日には旭川実業高校を表敬訪問し、30年間(1984年~2013年)の青少年事業に感謝を表し、これを「高円宮記念日韓交流基金」で施行する模範的青少年交流事業として進めたことがあり、また、来る10月24日に北見市で開催される「コリアンフェア」に韓国舞踊団5人を派遣し、フェアがより盛大に行われるよう支援しているなどの事業です。
さらに、もう一つ加えるとすれば、現在韓国の11の自治体が北海道および道内のさまざまな自治体と交流をしておりますが、この交流事業を支援することにより、両国の自治体間交流がより活発に行われるようにしています。昨年、北海道とプサン広域市間交流10周年を迎え、50名余りの規模の「プサン市立国楽管弦楽団」をお招きし、札幌市民ホール大公演場で1500人以上の来場の下、大好評の中、公演を終えたのに続き、今年は慶尚南道との交流10周年を記念し、11月28日~30日に開かれるインターナショナルウィークの韓国ブースのテーマを慶尚南道に決め、慶尚南道東京事務所などと協調し合いながら、行事を準備しています。
韓国と北海道を運航する航空会社は既存の3社から昨年12月から今年7月まで新たに3社が新規就航し、季節便・チャーター便も加わるなど、今の勢いですと数年内に北海道を訪れる韓国人が50万人を超える時代を迎えるのはそう遠い未来ではないと思っております。
そして、すでに言及した各団体間交流の増加の他にも、経済的交流などより実質的な交流として繋がることができるよう、関心を持って努力をしています。その上、同方面でもさらに交流事例が増えることにより、韓国と北海道の関係が、量的な面ではもとより、質的な面でもさらに発展していくよう、そして韓国北海道間交流がより一層活性化できるよう、当館はこれからも最善の努力を尽くしてまいりたいと思っております。










