南北50キロの巨大環礁、大艦隊の泊地に最適


南方の前進拠点 トラック島物語(上)

 日本本土から南に約3千キロ、カロリン群島にその島はあった。太平洋戦争当時、南洋における日本海軍最大の根拠地だったトラック島である。もっとも、俗にトラック、あるいはトラック島と呼ばれたが、サイパン島やグアム島のようにトラックという名の一つの島があったわけではない。

 全長200キロに及ぶ珊瑚(さんご)礁の鎖でできた東西60キロ、南北50キロの世界最大級のトラック環礁(ラグーン)があり、その内側に大小248の島々が散在している。日本海軍は幾つかの大きな島に軍事拠点を構えていた。それらの島々を総称してトラック島と呼んでいたものである。


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