いかなるテロも容認せず ムサ・モハメット・カラマ氏
スーダンのムサ・モハメット・カラマ工業相に聞く
ウィーンで開催中の国連工業開発機関(UNIDO)総会に参加したスーダンのムサ・モハメット・カラマ工業相は28日、本紙との単独会見に応じ、トランプ米政権が先月、スーダンへの制裁の一部解除を決定したことについて、「両国の私企業が進出できるようになる」と歓迎する一方、米国がスーダンを依然、テロ支援国家リストに掲載していることに不満を表明。イスラム過激テロ問題では「いかなるテロも容認できない」と指摘し、イスラム過激派テロ組織「イスラム国」(IS)撲滅作戦で米国らとの協力を惜しまない姿勢を改めて強調した。
(聞き手=ウィーン・小川 敏)
スーダンは2011年、南北に分断された。その結果、大多数の原油生産地を南スーダンに渡した北スーダンのその後の国民経済はどうか。
スーダンは大きな国だ。南北分断でその巨大な地下資源が南側に渡った。工業地帯は主に北部と中部に集中していたから、北スーダンの国民経済には大きな影響はなかったが、地下資源や外貨収入源の損失は痛手だ。広大な領土と700万人の国民を失ったわけだから当然だろう。
分断後の原油産業はどうか。中国企業が依然、連携して開発中と聞く。
中国企業との連携は今も続いている。原油生産量は日量約20万バレルだ。新しい原油開発にも乗り出している。わが国には多くの鉱床があるからだ。例えば、米国企業もスーダン市場に戻りつつある。米石油関連企業シェブロンも戻ってくる。2030年までには日量50万バレルを達成したいと考えている。
トランプ米政権は10月、対スーダン制裁の一部解除を決定したばかりだ。
私企業の経済活動が可能となった。米企業もスーダン市場に投資できるし、スーダン企業も米国市場に進出できるようになる。ただし、政府間交流、例えば、軍事協力や情報交換といった交流はまだない。米国はわが国をテロ支援国家リストに載せているからだ。
スーダンはイスラム過激派テロ組織「イスラム国」(IS)壊滅作戦では米国と協力している。
スーダンは穏健なイスラム国家だ。いかなるテロにも強く反対している。イスラム教徒が他者を殺害できるとは信じられない。信仰の自由の大切さを知っている。だから、地域的、国際的テロ対策には積極的に協力してきた。
バシル大統領が23日、ロシアを訪問した。米ワシントン・タイムズ紙によると、スーダンはロシアからスホイ35戦闘機(SU35)をアラブ諸国では初めて購入するという。
スホイ35戦闘機購入は現在交渉中でまだ締結されていない。あと数カ月で交渉は完了し、来年にはロシア戦闘機はスーダンに来るだろう。ただ、10機を超えることはない。
中国との関係はどうか。
中国はわが国の良きパートナーだ。中国は当初、原油開発に積極的に投資してきたが、ここにきて道路、橋建設など土木業、建設業、電気関連分野など産業インフラにも投資している。
日本との関係については。
個人的な話だが、私は1994年、日本文部省海外留学生として東京大学で農学を勉学し、博士号を得た。日本国民と政府には感謝している。駐スーダンの日本大使館とも良好関係を維持してきた。私が若かった時、1年間、日本大使館で勤務したこともある。日本企業がスーダンに進出し、投資してくれることを期待している。






