アフリカでの中露台頭に懸念
米軍縮小方針で見直しも
米国防総省のアフリカ駐留米軍の縮小方針をめぐって議会から、「イスラム国」(IS)など過激派組織の復活につながるだけでなく、安全保障上の空白が生まれ、中国、ロシアの台頭を許すことになると懸念の声が上がっている。
上院軍事委員会のインホフ委員長は1月30日、公聴会で、中国はこの5年間でアフリカでの軍事プレゼンスを70%増加させたことを明らかにした。また、現在、50カ所以上で港湾プロジェクトに取り組んでおり、「すでに計画段階より進んでいる」と、中国のアフリカへの進出ぶりを強調した。
アフリカ軍のタウンゼント司令官はそれに対し、地域での脅威にはしっかり対応していると主張するとともに、米当局者らが、アフリカでの欧米の影響力に対抗するため中露が協力しているとみていることを明らかにした。
有力議員らが30日、エスパー国防長官、ポンペオ国務長官に宛てた書簡で、アフリカでの影響力拡大を進める中露に対抗するため、戦略を見直し、アフリカ駐留軍を強化することを求めた。
シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)のキャサリン・ジマーマン研究員は「中露に対抗するため米国が東欧、太平洋、中東に資源を移動させる一方で、中露はアフリカに注力し、影響力を増している」と指摘した。
米政府は、これまでの「テロとの戦い」へ重点を置く方針を転換し、中国に対抗するためアジアに軍事力をシフトする方針を示している。しかし、イラン情勢の不安定化などから、中東への増派を余儀なくされる一方で、アフリカからの一部撤収の方針を明らかにしている。
(ワシントン・タイムズ特約)