貿易優遇除外、安全保障上やむを得ない


 政府は、貿易管理上の優遇措置を適用する対象国から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。7日に公布して28日に発動し、対韓輸出管理をさらに強化する。

 政府は韓国の輸出管理制度が不十分で、安全保障上の懸念があると強調している。除外はやむを得ない。

韓国への輸出管理を強化

 日本は7月、半導体材料3品目で韓国への輸出管理を強化した。さらに今回、一定期間の輸出許可を一括して出す優遇対象国から除外することで、軍事転用可能な工作機械や先端素材など幅広い品目で個別の許可が必要になる。

 このような措置を取る背景には、韓国側と輸出管理に関する十分な意思疎通が取れず、日韓の信頼関係が損なわれたことがある。不適切な事案が判明してからも、韓国政府は協議に応じようとしなかった。

 半導体材料3品目の一つであるフッ化水素については、韓国の文在寅政権発足後に「対韓輸出がケタ違いに急増し、半導体産業が増えていない実情がある」との専門家の指摘もある。フッ化水素はウラン濃縮の戦略物資であり、輸出管理が不十分であれば核兵器の拡散にもつながりかねない。日本が韓国への輸出管理を強化するのは当然のことだ。

 そもそも、なぜ韓国は輸出管理に関する日本との協議に応じようとしないのか。こうした姿勢では、何か後ろ暗いところがあると受け取られても仕方があるまい。

 文大統領は、日本の今回の措置を「きわめて無謀な決定だ」と非難した。だが、日本の不信を招いたのは文氏自身であることを自覚すべきではないのか。

 問題は、輸出管理にとどまらない。元徴用工問題では、韓国最高裁が「請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済み」とする日韓両政府共通の見解を覆して日本企業に賠償を命じる判決を確定させ、韓国政府も協定に基づく協議や仲裁に応じなかった。

 慰安婦問題では「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった2015年の日韓政府間合意に基づいて設立された財団を解散させた。こうした「合意破り」が続けば、日本だけでなく国際社会からの信頼を失うことになるだろう。

 日本の今回の措置を受け、韓国政府も日本を貿易管理上の優遇対象国から外し、輸出管理を強化すると発表。世界貿易機関(WTO)への提訴に向けた準備を加速すると表明した。

 ただ、どれほど対抗措置を打ち出しても日本との対立が激化するだけで問題が解決するわけではない。韓国に求められるのは、日本への誠意ある対応だ。

日韓の防衛協力維持を

 さらに韓国政府は、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の見直しを検討する方針も示した。

 北朝鮮がミサイル発射を続けるなど、朝鮮半島情勢は緊迫化している。こうした中、日韓のGSOMIAが破棄されれば、それこそ北朝鮮の思うつぼだ。韓国は感情的な対応を避け、日本との防衛協力を維持する必要がある。