共産党増進の問題に対処を
対外広報や格差問題で
来年は国内外に不穏な動き
今年は衆議院選挙で1年間の大切な国政関係の終結を迎えることになった。選挙期間中は日本の経済ミッションに同行してインドに出張していた。現地でも日本の国政には関心が高く、安倍晋三首相の動向については今まで例を見ないほど注目されていることに、良い意味で驚いた。
その中、今回の選挙で安倍総裁が率いる自民党が300議席を獲得するのではないかという記事を見たときは、正直言ってこれで安心したら大変だと逆に心配をしてしまった。帰国の翌日、一票でも投じなければと思い投票所に行き、小選挙区と比例代表それぞれ違う政党に大切な一票を投じた。夜になって選挙の結果が報道されるにつれ、日本国民は安倍政権のこれまでの業績を評価し、今後の舵(かじ)取りに期待するという明確な答えが出たことで安心した。
安倍首相には憲法改正をも含め、戦後レジームの脱却と日本が普通の国として、アジアの国々から信頼され尊敬される国になるように大いに頑張っていただきたい。安倍首相本人もテレビでおっしゃっていたように、過信したり傲慢(ごうまん)になることなく謙虚さと信念を貫いてもらいたい。
今回の勝因はいくつかあるだろうが、私としては安倍首相がある意味で政治生命を賭けて国民の意思を問うたことへの勇断に多くの人が感銘したのではないかと思う。日本のメディアの風潮などを見ると、今後の舵取りも国内外からの邪魔を予測できる。特に、2015年においては既に韓国や中国の不穏な動きが見え隠れしているので、これからは心理作戦、広報活動も外交や防衛同様に大切であるように思う。私が言うのもおかしいが中国などからも大いに学び、対応策を講じる必要がある。
衆議院選挙を経て日本に安定政権ができたことは喜ばしいことであるが、同時に不安の材料も表れたことを忘れてはならない。共産党が解散前の議席を大幅に増強したことと沖縄で保守系が惨敗したことである。共産党が伸びたことには要因がある。
共産党以外の野党の候補者たちは、蜂が蜜を取るために花から花へと移るように政党を変え、バッジをつけることのみに懸命になり、国民が納得できるような政策を打ち出していないし、与党との違いを明確に出していない。私自身、身をもって共産主義の恐ろしさを知っているので、日本が共産主義国家になってほしいとは思わないが、日本共産党の明確な主義主張を貫き、弱者の意見を代弁している面は最も政党らしいと評価している。共産党の看板を塗り替えなかったところも評価できる。ただ共産党員も含め、日本国民に知って欲しいのは、日本が民主国家であるからこそ共産党が自由に自己主張できることである。
私は1960年代から80年代の日本が福祉国家を目指し、共産主義を排除するため当時の指導者たちが、それまで社会党や共産党だけのスローガンだった教育と福祉に力を注いできたことを懐かしく思う。最近、病院に行っても高齢者が多く、しかも医療の負担が高いことや子供たちがホームレスになり、最小限度の教育も十分に得られていない子供が増加していることに心が痛む。
高齢者たちは今日の社会を築き上げた過去の貢献者たちであり、子供たちは未来を支える宝である。この過去と未来を軽視して現在だけに振り回されると、過去に対する誇りと感謝の気持ちも無くなれば、未来に対する夢と自尊心も失ってしまうだろう。
この度、アメリカとキューバが国交を結ぶことで、日本のマスコミは共産主義の残滓(ざんし)と評して共産主義がまるで終わったように書いているが、忘れてはならないのは中華人民共和国を軸にしたアジアの国々においてまだ厳存しており、それが日本でもゾンビのように生き返ってくる危険性を残していることである。私はこれに関連して政府・自民党と日本国民は今回の選挙の結果を慎重に分析する必要があると訴えたい。
国内において日常生活で格差がどんどん広がり、貧困層の増加が顕著である今のうちに手を打たなければ国の総合的力が衰え、厳しい国際環境の中、生き抜く力を失ってしまう恐れがある。
最後に今回の選挙をもって石原慎太郎先生が政界を引退することになった。1970年当初、青嵐会の結成から今回の引退宣言まで注意深くその言論を見つめてきた。私にとってはこの40年間の日本政治を考えるとき、石原先生は議員25周年の記念演説で議員辞職を突然発表したり、都知事選挙に立候補し都を再生し、記録的な都民の支持を得ていたにもかかわらず突然辞表を出したり、意図的に話題になるような発言をして驚かせたりしたが、大衆が常に政治に関心を持つような思いやりの言動であったと信じている。先生の一貫した信念を貫く姿勢と日本を含むアジアの自由と独立を支援し正義のために発言し、日本の政治を軌道修正してきたことに心から感謝するとともに、今後もバッジをつけた職業政治家ではなく、真の意味での賢人として日本をリードし続けて欲しい。