政党同士の付き合い 公明の出方に手を焼く自民


 安倍内閣は自民党と公明党の連合政権だ。この両党の付き合いは長くて古い。何度も政権を共にしている。兄弟政党といっても差し支えない。お互いに気心は知り尽くしているし、政策もツーカーの関係にある。

 しかし、この古い仲も心を割っての付き合いとはいいかねる。遠慮があるし、イザとなると水と油の関係に逆戻りしかねない。しかし両党の間がギクシャクすると、待っていたとばかり野党に乗ぜられる恐れがある。

 この事態だけは断じて避けなければならない。その結果、人前では両党は必要以上に親密さを装っている。しかし化けの皮はすぐにはがれる。両党の近親憎悪の実態は永田町では知らない者はいない。

 自民党は最近、公明党の出方に手を焼いている。安倍首相が政治家の抱負、信念として腹中深く温めている考え方にいちいちイチャモンをつけているのが外ならぬ公明党だ。例えば防衛問題がそれだ。

 安倍首相は経済や外交の専門家ではない。ただ常に現役の最前線にあって、あらゆる問題に首を突っ込み、発言する。一種のうるさ型だ。しかしうるさ型だけあってツボを外さない。その意味では党内はもちろん党外からも一目置かれている。

 その首相にズケズケものを申すのが与党の公明党だ。良薬は口に苦く、批判は耳に痛い。この意味では公明党は安倍首相にとっては苦手な相手だ。しかしそんなことで渋い顔をする安倍首相でもないし、また調子に乗ってヤイノヤイノと責め立てる公明党でもない。会えば互いに手を出し合ってヤアヤアと握手する仲だ。

 しかし個人の仲はどうであっても政党と政党の付き合いがある。永田町の各党は互いに仲良しだ。与野党互いに微笑を忘れずに肩を叩き合う。双方ともお世辞を並べ立て外交辞令の応酬だ。しかし、ひとたび、敵味方に別れて争う時は互いに別人となる。相手に喰いついて離れずトコトン叩き合う。社会の各方面でも個人同士、あるいはグループ単位の争いは絶えることはない。しかしその凄愴苛烈さにおいては永田町が何といっても一番だ。

 永田町の政党人の行動を思えば、常人のケンカ沙汰は子供の争いの一言に尽きる。この人達が日本の政治を論じ、日本の前途のカジ取りをし日本の運命が決まる。そこまで考えると、永田町の一挙手一投足次第で日本と日本国民がどのようにもなるのだ。思うだに空恐ろしくならざるを得ない。(I)