日米首脳会談 TPP失敗なら首相批判へ


 日本は世界で最も不可思議な国のひとつだ。日本は先の大戦で大敗した。それまでは日本の国柄を世界無比と信じ、世界のリーダーを本気で目指した。

 しかし敗戦後はガラリと変わってしまった。日本は強国ではない。アジアの片隅の小国にすぎないとの信念にコリ固まっている。本当にそう思っているのだ。そう思っていないのはアメリカであり、アジアの近隣諸国たちだ。

 日本は戦争に負けただけではない。いろいろな天災人災を受けている。しかし、日本はその度に不死鳥の如く立ち直っているのは戦後史の示す通りだ。

 もし、それが日本ではなく自分の国で起こったらどうなるのか。その危機を克服することができるのか。他国はそう懸念している。

 ところが日本だけは、何度ひどい目に遭っても、そのままでは終わらない。国難辛苦の末に昔の通りによみがえってくる。この秘密は何か。日本の政治がそれだけいいのか、それとも日本民族は生まれながらに優れた素質に恵まれているのか。いろんな理由を作ってクビをひねってるが、うまく説明できない。

 日本人だって分からない。ただ汗を流してがむしゃらに働いたことだけは覚えている。このがむしゃらに働くことを厭わないという美点は評価されるに足りる。

 現在、ただ今、その先頭に立っているのが安倍首相だと言えよう。何しろ、連休となれば必ずと言ってもいいほど外国を次々と訪問する。平日でも朝早くから夜遅くまでスケジュールがぎっしり詰まっている。ひとたび公邸に戻ってもそこに来客が待ち構え深夜まで話し込んでいることすら時々ある。

 第一次安倍政権崩壊の原因が健康問題であったことを思い起こすと「大丈夫か」といった声が聞こえてくる。それでも本人は全くお構いなしで、突っ走っている。

 今週はいよいよアメリカのオバマ大統領が来日する。アジア外交戦略の重要性を考えれば日米同盟の強化こそ最大の賢明策だ。

 これを乗り切り共同声明を高らかに謳えれば、中国に対する効果的な抑止力ともなり得る。恐らくこちらはうまくいきそうだ。

 問題はTPP(環太平洋連携協定)でどこまで譲歩し合えるかだ。失敗すれば野党だけでなく足元の自民党内から大批判を浴びることは間違いない。本気の真剣勝負が展開される。今週ほど政府にとって忙しい週はないだろう。

(I)