日米共同作戦計画の策定を


台湾有事への備え急務

高市自民党政調会長が訴え

自民党の高市早苗政調会長は19日、日本と台湾の交流を促進する民間団体「日本李登輝友の会」が都内で開催した会合で講演し、米軍幹部や台湾政府高官から中国による台湾軍事侵攻の可能性が差し迫っているとの発言が相次いでいることを踏まえ、「台湾海峡危機に備えた日米共同作戦計画をしっかり策定する」ことが急務であると訴えた。

「日本李登輝友の会」の会合で講演する自民党の高市早苗政調会長=19日、東京都千代田区(村松澄恵撮影)

 高市氏は、台湾有事が発生した場合、「どのように邦人を保護し、非戦闘員の退避を行うのか。日本と台湾の間で協議をしておかないといけない」と述べ、日台間の調整も喫緊の課題であるとの見解を示した。

 日台関係について、「秘匿可能な通信連絡やリアルタイムに情報共有する手段がないことはとても残念」と述べ、情報共有の枠組みとして、日台当局間のホットライン設置や台湾周辺で発生した海難事故に対処する海上事故防止協定の締結を提案。さらに、中国機が台湾の防空識別圏に進入するケースが大幅に増えていることを踏まえ、中国機の航跡情報を共有、相互通報する仕組みを模索すべきだと語った。

 高市氏は「平和的な解決を働き掛けるだけでは不十分。中国に力による一方的な現状変更は不可能であることをしっかりと認識させることが重要だ」と主張。そのために、日本は防衛費増額や敵基地攻撃能力の保有に加え、中国の人工衛星を妨害して指揮統制ネットワークを無力化するために日本の宇宙技術を活用することを積極的に検討すべきとの考えを示した。

 高市氏はまた、中国が台湾に対し、サイバー戦やフェイクニュースの拡散などによって社会の断層を広げる「認知戦」を仕掛けていることに強い警戒感を表明。「中国はこういう手段によって戦わずして台湾を奪取することを企てている。台湾侵攻は既に始まっていると考えざるを得ない」と主張した。