日本国籍の保有認めず 東京地裁 台湾人99歳元軍属ら敗訴


 日本統治下の台湾で生まれ育ちながら、戦後に日本国籍を喪失したのは不当として、台湾人の男性3人が日本国籍を有していることを日本政府に確認を求めた訴訟の判決が11日、東京地裁であり、市原義孝裁判長は請求を退けた。原告の一人、楊馥成(ようふくせい)さん(99)は「大変残念に思っている。日本の教育を受け、日本人になったと思っていた。戦争でも命懸けで任務を果たしたつもりだ」と悔しさをにじませ、控訴する意向を示した。
 
 旧台南州生まれの楊さんは、日本軍の軍属として先の大戦に参加し、補給部隊の一員として食糧確保に奔走。楊さんのように台湾から戦地に派遣された日本軍人・軍属は20万人以上に上り、3万人以上が戦死したとされる。楊さんは戦後、大陸から移ってきた蒋介石・国民党政権から反体制異分子とみなされ、7年間も投獄された。

日本国籍確認訴訟判決後に支持者の集会に出席した原告の楊馥成成さん(左)と代理人の徳永信一弁護士=11日午後、東京都千代田区(村松澄恵撮影)

 楊さんらは裁判で、本人の同意なく国籍を喪失させることは憲法に違反するとし、「最期は日本人として死にたい。どうか私たちの願いをかなえてほしい」と訴えていた。これに対し、市原裁判長は「台湾は日本の国内法上、内地とは異なる扱いを受け」ていたことを指摘した上で、1952年発効のサンフランシスコ平和条約と日華平和条約により、楊さんら原告3人は「いずれも日本国籍を喪失したものといえる」と主張し、訴えを退けた。

 楊さんは記者会見で、判決が台湾人を外地人と区別したことについて、「私個人では区別は受けていなかった。軍隊にいた時、私は日本人として信任され、軍の機密に関する仕事も任された」と反論した。

 また、楊さんは、中国が台湾併合の野望を強めていることに関し、「中国は台湾を中国の領土の一部だと宣伝しているが、事実はそうではない。中国に(台湾併合を)あきらめさせないと、東洋の平和は期待できない」と述べ、日本は再び台湾を見捨てないでほしいと訴えた。

 原告側代理人の徳永信一弁護士は、判決について、過去の最高裁判例を踏襲しただけと批判する一方、「もともと最高裁勝負で始めた裁判。負けた場合は上級審の判断を仰ぐことは予定していた」と語った。